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【開店秘話】祇園の路地に立つダシが豊かに香る創作和...
2024年5月29日 open
古都の花街らしい風情が漂う宮川町の石畳。その通り沿いに誕生したのが、天ぷら割烹の[宮川町 天匠](京都府京都市東山区)だ。
吉野ヒノキの清潔感ある美しい白褐色のカウンターの向こうに立つのは、店主の長谷川隆次さん。「天ぷらは揚げたてが一番。最も美味しいタイミングで食べていただきたいので」とカウンター席のみでもてなす。
素朴な笑顔が印象的な長谷川さんは北海道出身。人より牛の数の方が多いという別海町の牧場で育った。学生時代から職人の世界に憧れ料理人を志し、札幌や大阪での修業を経て22歳で京都へ。[料理旅館・天ぷら吉川]では21年間厨房に立ちそのうち18年もの間、料理長として味を守っていたそう。
そんな長谷川さんが手掛けるコースは、天ぷら以外の料理でも磨かれた腕が活きた本格的な和食を堪能できるのが魅力。
料理はすべて天ぷら会席2万4200円の一例。たくさん食べても胃もたれしないよう、あっさりとしたクセの少ない大豆100%の油を使用。程良い揚げ方で中がやわらかい貝柱キャビアは定番の具材で、天ぷらは瀬戸内のあら塩か山椒塩、天つゆをつけていただく
コースの天ぷらは全部で10品。朝に京都市中央市場で買い付けたり産地から直接仕入れたり、厳選した旬の魚介や野菜が登場。水分量が多い具材には衣を濃い目にするなど素材に合わせて微調整しながら、手際良く揚げていく。
飽きが来ないように天ぷらを使った変わり種の料理を出す工夫も。賀茂なすとうろこがパリパリのぐじの天ぷらをポン酢餡や薬味で
「衣は粘りが出てしまうので混ぜすぎず、衣を呼吸させるようなイメージで揚げるのがコツ。温度は計らず、音と見た目でベストな油の状態を判断しています。表面はサクッと中はふわりとした口当たりに仕上がるように心掛けていますね」。
下処理を施しきれいにまっすぐ伸びた姿が印象的な海老
職人技が詰まった天ぷらは、一口食べれば誰もが顔をほころばす。天ぷらが目の前で揚がる心地よい音に耳を澄ませ待つ時間もまた至福だ。「うちの天ぷらは海老で始まり海老で終わります。海老はみんなが好きな代表的な具材ですから」と嬉しい心配りも。
桜海老のかき揚げ丼。信楽焼の雲井窯の土鍋で炊いたつやつやのごはんとサクサクの桜海老が合わさり堪らない
最後の丼物まで天ぷらの魅力を閉じ込めた丁寧な料理の数々と長谷川さんの人柄に、胃袋も心も染み入るように満たされていった。
店主 長谷川隆次さん。北海道別海町出身。高校卒業後に和食の世界で料理人として経験を積み、[料理旅館・天ぷら吉川]で18年間料理長を務め独立
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