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琵琶湖と京都を結ぶ水路・琵琶湖疏水を巡る[びわ湖疏水船]。同船は第1疏水の大津市・三井寺乗下船場から京都市の蹴上乗下船場を春と秋の季節限定で運航しているが、琵琶湖と疏水の水位を調整する大津閘門(こうもん)の電動化改修工事完了に伴い、2024(令和6)年春からびわ湖・大津港発着のびわ湖・大津港便(延伸便)が運航開始。
[琵琶湖疏水]は第1疏水が1890(明治23)年、第2疏水が1912(明治45)年に完成。飲料水の供給のほか水力発電などに活用され、京都の近代化に大きく貢献した。かつては人や貨物を運ぶ舟運も盛んであったが、自動車や鉄道の急速な発達によって利用が減少、1951(昭和26)年を最後にその姿を消した。その後、明治維新150周年の節目である2018(平成30)年に観光船[びわ湖疏水船]として復活。明治時代の偉業や疏水沿いに広がる景色の美しさを今に伝えている。
[びわ湖疏水船]はびわ湖・大津港の乗下船場から第1疏水の蹴上乗下船場までの約9.3Kmを結ぶ航路。所要時間は上下便で異なり、大津から京都方面へ向かう下り便は約85分、逆方向の上り便は約65分となっている。これは下り便が疏水の水の流れを利用して運航するのに対して、上り便が水の流れと逆行して航行するため下り便に比べ、より船のエンジンを利用することによる違いである。
びわ湖・大津港の乗下船場を出航したびわ湖・大津港便(下り便)は、琵琶湖を浜大津から三井寺方面へ向かい第1疏水への玄関口である琵琶湖築地へ。第1・第2疏水取水口の横を通り、京阪電車の線路橋の下をくぐる。タイミングが合えば橋の真下から電車を眺めることが出来る。
次いで船は大津閘門の門と門の間で一旦停止。疏水と同じ水位まで下がるのを待って出発する。大津閘門は2つの水門を交互に開閉することで、琵琶湖と疏水路の水位差を克服し、双方を行き来することができるようにするための施設。閘門の電動化によるびわ湖・大津港への航路延伸に伴い、船の上から閘門の開閉による水位変化が体験出来るようになった。
大津閘門を出発した船は、山科へと抜ける第一トンネル東口洞門へと向かう。途中の鹿関橋付近では、春から初夏にかけては桜や新緑の青もみじ、秋には紅葉を船から望む贅沢な時間が過ごせる。
各トンネルの入口には扁額(へんがく)と呼ばれる石に文字を刻んだ額が掲げられている。揮毫は伊藤博文をはじめ明治を代表する政治家らによるもので歴史的にも大変貴重なもの。またデザインにも趣向が凝らされており、大津側は文字を窪ませた陰刻、京都側は文字が浮き出る陽刻となっている。それぞれの揮毫に込められた意味や、デザインの違いを見つけるのも楽しみの一つである。
第一トンネルから山科乗下船場を通り、諸羽トンネルを抜けると[毘沙門堂]の参道に架かる安朱橋へ。安朱橋付近は、春には桜と地域住民が丹念に育てた菜の花が咲き誇る花の名所であり、船上からも美しい花の競演が楽しめる。
疏水上を斜めに渡る朱塗りが鮮やかな本圀寺正嫡橋の下をくぐり、短い第2トンネルと続く第3トンネルを抜けると蹴上乗下船場に至る。同乗下船場すぐそばの旧御所水道ポンプ室は、かつて御所水道として[京都御所]に防火用水を送水していた施設。[京都国立博物館]等で知られる建築家・片山東熊(とうくま)が設計、宮内省が建設をしたもので、国の登録有形文化財に登録されている。こうした貴重な歴史遺産を間近で眺めることが出来るのも大きな魅力となっている。
疏水の穏やかな水の流れを感じながら、近代京都の礎を築いた歴史やロマン、水路からの美しい風景に出合える[びわ湖疏水船]に乗船してみて。
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