京都屈指の紅葉の名所[永観堂 禅林寺(えいかんどう...
黄金に輝く煌びやかな佇まいをひと目見ようと多くの参拝者が訪れる京都屈指の観光名所[金閣寺]。臨済宗相国寺派の塔頭寺院で、正式名称は[鹿苑寺(ろくおんじ)]。舎利殿「金閣」があまりにも有名なため[金閣寺]と呼ばれ、地元の人はもちろん、修学旅行生や外国人観光客にも親しまれてきた。
広大な庭園の木々が季節ごとに色を添え、何度訪れても新鮮さを感じられる美しい景色で楽しませてくれる。
そんな[金閣寺]が辿ってきた創設から受難の歴史、舎利殿が持つこだわりの様式や境内の見どころを紹介する。
室町時代の将軍・足利義満が創建したことで知られるが、その前身は鎌倉時代の1224(元仁元)年に遡る。当時、権勢を振るった公卿・西園寺家がこのあたり一帯に豪壮な山荘を造営。鎌倉幕府が倒れると次第に西園寺家も衰退し、荒廃した山荘を譲り受けたのが義満だ。
1397(応永4)年、義満は大改修をはじめて北山殿を築き、舎利殿・金閣を中心とした庭園と建築で極楽浄土を表現。それまで義満の邸宅である室町殿で行っていた政務は北山殿で執り行うようになり、明からの勅使を北山殿で迎えるなど貿易にも注力。中国の文化を取り入れて趣向を凝らした舎利殿では、1408(応永15)年に後小松天皇が行幸した際に盛大な宴を行った。華やかな北山文化を発展させていった義満は、51歳で生涯を終えるまで舎利殿を迎賓館として使用していたと言われている。
その後、遺言により北山殿は禅寺となり、義満の法号である鹿苑院殿から[鹿苑寺」と名付けられた。
1467年の応仁の乱では、多くの寺院が焼き討ちに合い[鹿苑寺]も大部分が焼失するも、奇跡的に舎利殿などの建物は被害を免れる。それから激動の安土桃山時代を経て太平の江戸時代へ。徳川家康の命で、政治顧問として重用された相国寺の西笑承兌(せいしょうじょうたい)が住職となり復興を始め、次の鳳林承章(ほうりんじょうしょう)が後水尾天皇の帰依を得て庭園の整備に当たった。明治時代を迎えると支援者がいなくなり、廃仏毀釈も相まって困難な状況に。1894(明治27)年より一般拝観を受け入れ、拝観料を維持費に当てるなどして存続してきた。
緑いっぱいの参道を進むと、まず迎えてくれるのが表門である総門。ここでチェックしておきたいポイントが門の横に伸びる土塀。御所や門跡寺院の印として用いられる5本の定規線が入っている。格式の高さによって3〜5本の3段階に分けられており、5本は最高位の証。
また門の丸瓦には、天皇家から下賜された由緒ある家紋である五七桐が刻まれているのを見ることができる。定規線を数えたら寺紋を見上げ、心を正して門をくぐりたい。
唐門を抜けると見えてくるのは、池に浮かぶように佇む金色の三層楼閣。鹿苑寺を代表する建造物である舎利殿・金閣は、1399(応永6)年に完成したと推測される。
舎利殿とは釈迦の遺骨である仏舎利を安置する建物のこと。一層の法水院(ほっすいいん)には宝冠釈迦如来像を安置し、平安時代に貴族の邸宅に使われた様式の寝殿造りを採用。二層の潮音洞(ちょうおんどう)は観音殿で、鎌倉時代の武家の住宅様式である武家造りに。そして仏舎利が収められている三層の究竟頂(くっきょうちょう)は、中国風の禅宗仏殿造りとし、床以外の柱や天井にも金箔が貼られている。
実はこの舎利殿、1950(昭和25)年の放火事件で全焼した過去を持つ。その際に義満坐像や観世音菩薩も消失。現在の姿は1955(昭和30)年に総重量20kgもの金を使って再建されたもの。その後も二層と三層に貼られている外壁の金箔が、紫外線の影響や劣化で剥落してしまい、1986(昭和61)年から昭和大修復を実施。2020年には屋根の改修工事が行われ輝きを増した。
さらに注目してほしいのが屋根の頂点に南を向いて立つ鳳凰。舎利殿が全焼の被害を受けた際、修復のために別のところで保管されていたため、幸いにも創建当時のものが残っているのだ。唯一の遺品として保存されているので見ることはできないが、代して立つ鳳凰の姿に数多の受難と復興への思いを馳せて眺めたい。
舎利殿・金閣の前に広がる鏡湖池(きょうこち)は、池泉回遊式庭園である鹿苑寺庭園の中心的存在。その名の通り鏡のように澄み切った水面に舎利殿が映し出される様子は「逆さ金閣」と呼ばれている。約2千坪の広大な池に葦原島をはじめとする大小の島々や奇岩名石が配され、衣笠山を借景として逆さ金閣が映える鏡湖池を愛でれば、そこには極楽浄土のような美しい景色が広がる。
そんな鏡湖池は浄土曼荼羅(じょうどまんだら)に描かれた七宝池(しっぽういけ)を模して造られたと言われている。七宝池は金・銀・瑠璃・水晶・珊瑚・赤真珠・深緑色の玉の七種類の宝石でできているのだとか。
方丈北側で見られる船のような形をした松は、義満が手植えしたと伝わる陸舟の松。600年を超える樹齢を持ち、その美しさから京都三松のひとつに数えられる。帆掛け船のような形の松の先は西を向いており、この船に乗って西方浄土へ向かいたいという義満の思いが表現されているそう。
他にも、義満がお茶の水に使ったと伝わる銀河泉や、2.3メートルの高さから水が流れ落ちる龍門滝など、由緒ある見どころが満載。訪れた際は当時栄華を誇った義満の暮らしを想像しながら散策してみては。
●京都駅からバスで
B3乗り場
・205号系統(金閣寺・北大路バスターミナル行き)→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
●地下鉄烏丸四条駅からバスで
D乗り場(四条通南側)
・12号系統(金閣寺・立命館大学行)に乗車→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
●地下鉄今出川駅からバスで
B乗り場(今出川通南側)
・59号系統(金閣寺・龍安寺・山越行)に乗車→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
●地下鉄北大路駅からバスで
北大路バスターミナルG乗り場
・204号系統(金閣寺・円町行)に乗車→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
北大路バスターミナルE乗り場
・205号系統(金閣寺・西大路四条行き)→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
北大路バスターミナルF乗り場
・M1号系統(金閣寺・原谷行き)→バス停「金閣寺道」で下車→徒歩5分
●駐車場(乗用車)
台数/250台(第1〜3駐車場合計)
営業時間/8:40~17:10
料金/1時間まで400円、以降30分ごと200円
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