夜間特別拝観/清水寺
東山の麓に佇む北法相宗の大本山[清水寺]。京都を代表する寺院のひとつで、2020年には本堂屋根の葺き替えと舞台板の張り替えなど大改修が完了したことで話題に。桜と紅葉の名所としても知られ、3月下旬から4月上旬にかけて山桜やソメイヨシノが咲き誇り、11月中旬から12月初旬頃にかけてはモミジやヤマモミジが境内を彩る。
清水の舞台や音羽の滝といった定番から、探して見つけてほしい不思議な見どころ、各納経所でいただける御朱印や授与品など境内を巡る楽しみ方のヒントを紹介。注目のイベント情報とアクセスも合わせてチェックしてお出掛けシーズンに役立てて。
778年(宝亀9年)に延鎮上人が開創し、坂上田村麻呂が創建。2人が出会ったのは780年の夏。田村麻呂が妻の安産の薬餌を求めて東山へ鹿狩りに訪れ、喉の渇きを癒やすために音羽の滝に立ち寄ったところ延鎮と遭遇した。安産祈願のために他の命を奪ったことに観音の不殺生大悲を解いた延鎮に心を強く動かされた田村麻呂が、観音堂を草創して寄進したことが[清水寺]の始まりだ。
平安時代に入り東国の蝦夷討伐のために征夷大将軍に任命された田村麻呂は、延鎮の祈祷によって勝利を収め、報謝として金色の十一面千手観音を御本尊とする寺院を建立した。
その後、勢力争いに巻き込まれて焼き討ちにあったり、応仁の乱で全焼したりと、災難で焼失すること10回以上。その度に寺と民衆が心をひとつに再興してきたという、歴史の上に現在の姿がある。
賑やかな産寧坂を抜けると、まず迎えてくれるのが仁王門。[清水寺]の正門で、丹塗りの美しさにより「赤門」とも呼ばれる。応仁の乱で焼失するも1500年前後に再建された。
仁王門正面右の腰貫のくぼみを指先で叩くと、斜め向かいにその音が伝わるという不思議な仕掛けも。くぼみ具合から大勢の人が叩いたことが窺える。
847年に創建され、現在の建物は1632年に再建されたもの。国内最大級の三重塔で、街中からよく見えることから清水のシンボル的な存在となっている。
断崖に建つ本堂が有するのは、ことわざ「清水の舞台から飛び下りる」で知られる舞台。2020年に完了した大改修で、舞台板が新しい檜板に張り替えられピカピカの装いとなった。高さは約13メートル。巨大なケヤキの柱を中心に釘を使わず、ケヤキの貫とくさびのみで格子状に組み上げられる建築美は圧巻だ。古くは命懸けで御本尊を信心すれば願いが叶えられるといった信仰により、実際に舞台から飛び降りる風習もあったそう。1872年(明治5年)に禁止令が出されてからは、決死の覚悟を表すことわざとして後世に伝わる。
その舞台から見て一番奥、内々陣に祀られているのが、焼失のたびに運び出されたと伝わる御本尊の十一面千手観音像。十一の表情と四十二の手で大きな慈悲を表し、人々を苦難から救うといわれ古くから信仰を集めてきた。秘仏であるため通常厨子の扉は閉ざされており、直接お目にかかれるのは33年に一度で、次は2033年。ただし、御本尊を模した御前立(おまえだち)でそのお姿を拝見することができる。また、毎年8月9〜16日に行われる千日詣りでは、内々陣を特別に拝観することが叶う。
田村麻呂が喉の渇きを癒やした水であり、延鎮と出会った始まりの場所。[清水寺]という寺名の由来でもある音羽の滝は、有史以前よりこんこんと湧き出し続ける清浄な水。元々は1本の滝であり、観音さまの「金色水」「長寿の延命水」として信仰されてきた。民間信仰では財宝福徳、良縁成就、延命息災にご利益があるとされる。
長い歴史を持つ[清水寺]には摩訶不思議な現象が多数存在する。
例えば、仁王門をくぐってすぐに建つ鐘楼。通常、四方柱頭の隅組物の肘木は対で配置されるが、南方が獏で北方が象の木鼻に。
また、三重塔の東南の角にある瓦のみ、鬼ではなく龍が。龍は水を操る神であり、火除けのまじないといわれている。東南は火伏せの神が鎮座する愛宕山と逆方位に当たり、一番無防備なところを火災から守っているとも。
本堂への入口である轟門をくぐり、回廊を抜けた左手にある仏足石。屋島の戦いで源氏の美尾谷と戦った平景清の足形ともいわれ、清景の剛勇伝説にあやかって撫でると腰痛が治るとの言い伝えが。
他にも、全景だけでなく細かな部分にもじっくりと目を向ければ、きっと思わぬ発見があるはず!定番の見どころと合わせて境内を巡って楽しんで。
複数のお堂が集まっている[清水寺]。西国三十三所観音霊場・洛陽三十三所観音霊場・法然上人二十五霊場の札所でもあり、御朱印巡りにはうってつけだ。
本堂横の納経所でいただける御朱印は、「清水の舞台」として有名な本堂(西国)を含む7種類。本堂(西国)の御朱印には、観音様が祀られている建物を意味する「大悲閣」の文字が書かれ、中央には千手千眼観音をあらわす梵字が押されている。
そのほか阿弥陀堂と音羽の滝にある納経所でも、それぞれ異なる種類の御朱印をいただける。時期によっては長い行列ができるので、時間に余裕をもって訪れたい。
また境内にある授与所では、参拝の記念品となるお守りやお札などを受けられる。
本堂で出迎えてくれる大黒様をモチーフとした出世大黒天ストラップは、身につけることで商売繁盛や金運アップが期待できる。
ほかにも境内の古木で謹製された手掛け数珠など、[清水寺]を身近に感じられる授与品は要チェックだ。
庶民の厚い信仰と共に歩んできた[清水寺]では、観光客など一般の人も参詣できる行事が年間を通して多数行われる。なかでもチェックしておきたい行事を一部紹介。
<千日詣り> 毎年8月9〜16日
一日の参詣が千日分のご利益があるとされ、古くから観音さまの功徳日として広く人気を集めてきた。期間中は本堂内々陣の特別拝観が行われ、14〜16日は夜間拝観も行われている。
<青龍会(せいりゅうえ)> 毎年3月15日、4月3日、9月15日
観音さまは龍に姿を変えるという伝承から、長さ18メートルの青龍を先頭に、荘厳な装束に身を包んだ会衆が練り歩く行事。奥の院南脇堂に祀られている夜叉神は、青龍の地と御本尊を守り、良縁の神として信仰されてきたことから、14時頃に奥の院をスタート。地域守護と除災を祈願して境内や門前町へと行道する。
<夜間特別拝観>3月下旬〜4月上旬、8月14〜16日、11月中旬〜下旬(2024年日程11月18〜30日)
期間中は21時まで受付時間を延長。春は境内に咲き誇る山桜やソメイヨシノの観覧、夏の千日参りでは納涼に。秋はモミジやヤマモミジが赤く染め上げ、舞台からはえもいわれぬ絶景を見下ろす。ライトアップで昼間とは違った幽玄な雰囲気に包まれる夜間拝観を体験して。また、秋の夜間特別拝観期間中は通常非公開の[成就院]の「月の庭」も特別公開される。
伝統文化の継承や環境保全、フードロス削減などへの貢献をテーマに2022年よりスタートした『1000Market by OKAGESAN』。毎月28日に開催しており、100年先の地球やあらゆる生き物にやさしい作り手たちが集まる。「ほんまもん」なスピリットと品々が集うマーケットで、買い物や文化体験を楽しみたい。
●京都駅から
D2乗り場(市バス)
・206系統(三十三間堂・清水寺・祇園・北大路バスターミナル行き)→バス停「五条坂」で下車→徒歩11分
・86系統(清水寺・祇園・平安神宮行き)→バス停「五条坂」で下車→徒歩11分
C3乗り場(京都バス)※土・日曜、祝日のみ運行
・18系統(大原行き)→バス停「五条坂」で下車→徒歩11分
●阪急京都河原町駅から
E乗り場(四条通北側/市バス)
・207系統(清水寺・東福寺行き)→バス停「清水道」で下車→徒歩11分
●京阪祇園四条駅から
四条京阪乗り場(京阪バス)
・83/85/87/88系統→バス停「清水道」または「五条坂」で下車→徒歩11分
●京阪清水五条駅から
・徒歩25分
●嵐山から
・嵐電「嵐山駅」→嵐電「四条大宮駅」→バス停[四条大宮 ]207系統(清水寺・東福寺行き)→ バス停「清水道」で下車→徒歩11分
・阪急「嵐山駅」→阪急「桂駅」→阪急「烏丸駅」→バス停[四条高倉]207系統(清水寺・東福寺行き)→ バス停「清水道」で下車→徒歩11分
⚫︎金閣寺から
金閣寺道→千本北大路 206系統(東山三条・祇園・清水寺・京都駅行き)→ バス停「清水道」で下車→徒歩11分
⚫︎平安神宮から
岡崎公園 美術館・平安神宮前(市バス)
・202/206系統(東山三条・祇園・清水寺・東福寺行き)→バス停「清水道」下車→徒歩11分
※[清水寺]境内に駐車場はないが、近隣に市営駐車場やコインパーキング有り。時期によっては混雑するので、公共交通機関やタクシーを使っての参詣がおすすめ。
[紅葉シーズン情報]
見頃/例年11月下旬~12月上旬
成就院特別拝観
拝観期間:2024年11月18日(月)〜11月30日(土)
拝観時間:9:00〜16:00、18:00〜20:30(最終受付)
拝観料:大人600円、小中学生300円
夜間特別拝観
拝観期間:2024年11月18日(月)〜11月30日(土)
拝観時間:17:30〜21:00(最終受付)
拝観料:大人(高校生以上)500円、小中学生200円
[お花見情報]
見頃/3月下旬〜4月上旬
拝観時間/6:00~18:00
拝観料/大人500円、小中学生200円
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