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2022.10.18
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前田麻美さんの作品

花をモチーフに繊細な模様を映し出す前田麻美さん/京都でうつわをつくる人⑤

京都でものづくりをする人にスポットを当て、その想いや作品を紹介。今回は打ち込みやイッチン、染付など幅広い技法で作品を生み出す前田麻美さん。飾りたくなるような存在感のあるうつわに魅了される。

1.奥深い世界に惹かれ 大胆に転向して陶芸家へ

前田麻美さんと陶芸との出合いは学生時代。京都の大学院で哲学研究者を志していたときに、陶芸教室で陶芸に触れたことがきっかけだったいう。かつては美術学校に通うなど、もともと芸術に興味があった前田さんは、陶芸の奥深い世界に魅了されていった。

前田麻美さんの手元

「焼き物って感覚だけじゃなく、釉薬とかは計算が大事。手法が科学的でおもしろいなと思って。素材が自然由来なので鉄分や水分の量が少しずつ異なり、それは焼き時間や焼き加減にも影響します。焼き上がるまではどんな作品になるか未知の世界ですが、その分うまくできたときに大きな喜びを感じます」。大学院卒業後に京都の窯元や陶芸作家のもとで約4年修業を積み、2017年に独立。現在は窓から比叡山も望める高台に立つ自宅兼工房で、作陶活動に励む日々だ。

前田麻美さん

2.料理がなくても完成するそんなうつわを目指して

前田さんは花をモチーフにした作品が代名詞。レースのような細かい模様が施されたうつわは、洋食器のような雰囲気をまとう。「自然界のものが好きなので、花などの植物をモチーフにしています。うつわは盛って完成するものですが、盛る前から完成していてもいいかなと。小さい娘が、お花のお皿かわいいね、素敵だねって言ってくれるのが嬉しいですね」と二児の母としての顔ものぞかせる。

前田麻美さんの作品

手前から、青みがかった白の絶妙な色合いが特徴の青白磁花唐草稜花5寸皿3960円。均一にかかりやすい釉薬で模様を際立たせた灰青釉イッチン大皿1万5400円は、内側にイッチンが施され迫力がある。ブロンズカラーがシックでアンティークのような風合いをもつ灰青釉花七宝杯ブロンズ釉3300円と青白磁花唐草稜花豆皿ブロンズ釉2640円。お茶やお酒などさまざまなシーンで使えそうな灰青釉花七宝杯3300円と、縁のデザインも洋皿らしい雰囲気の青白磁花唐草稜花豆皿2640円

凹凸で描かれたうつわの模様は、二つの技法から生み出されるものだという。「うつわの内側の模様は生地に型をのせる、打ち込みという技法を使っています。型は磁器土を焼いて自作したもの。模様は逆に映るので想像力を働かせながら念入りに作らないといけません」。打ち込みの技法はうつわの内側にしか使えないため、外側にはもうひとつの技法のスポイトで描くイッチンが用いられる。
「模様や形については計算しないでやった方が向いているので、下絵などもなく気持ちのおもむくままに仕上げています」。彫刻のようにも見える繊細な柄を生み出す打ち込み、そして滴る水滴のようなイッチン模様。そこに計算されたオリジナルの釉薬が合わさり、独特の美しい表情を持つうつわが完成するようだ。

3.多彩な技法を駆使して 新たな作品作りに挑戦

最近では染付の技法を使ったシリーズにも力を入れているそう。白地に呉須の青色で描かれた模様は、どこか素朴な雰囲気。

前田麻美さんの作品

うつわはすべて素焼き生地の上に呉須の下絵の具で絵付けをして焼き上げたもの。左から、弁柄を施した縁が味わい深さを出す染付小花紋椀3960円。しのいだ側面もアクセントになった染付小花紋蕎麦猪口3520円。薬味などもかわいらしく盛れる染付小花紋角猪口3520円。うつわとしても使える染付小花紋蓮華3300円。縁が高くなり立体感のある染付小花紋輪花豆皿2860円

オランダのデルフト焼を思わす陶器のような味わいも感じられる。「私はいろいろな技法を使うのが好きなので、今後はまた違う技法で作品を手掛けられたらと思います。オブジェのようなものも作っていきたいですね」。今後も意欲的に個展や企画展を開催していくとのこと。新たな作品が登場するのを楽しみに待ちたい。

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前田麻美さんの作品

(中央)釉薬では珍しい紫に発色したあじさい釉7寸鉢6160円は、二重がけして中央の色を濃く出し表情豊かに。(手前)青い色合いが上品で料理を際立たせる青あじさい釉8寸プレート皿6600円。(奥)傍目には銅のようにも見える趣のある佇まいのブロンズ釉7寸鉢6160円

4.前田麻美さんプロフィール

前田麻美さん

前田麻美
まえだあさみ

1988年東京生まれ東京育ち。京都の大学院で哲学を学んだあと、陶芸の道へ。[M KYOTO CAFE by Leaf]2022年11月1日~12月31日に企画展、[GOOD NATURE STATION]で11月16日~12月15日に展示会予定。

https://www.instagram.com/maedasami/

PHOTO/高見尊裕、TEXT/板倉詠子

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