青の色彩に和む[魚雲窯]山本たろうさん/京都でうつ...
京都でものづくりをする人にスポットを当て、その想いや作品を紹介。今回は打ち込みやイッチン、染付など幅広い技法で作品を生み出す前田麻美さん。飾りたくなるような存在感のあるうつわに魅了される。
前田麻美さんと陶芸との出合いは学生時代。京都の大学院で哲学研究者を志していたときに、陶芸教室で陶芸に触れたことがきっかけだったいう。かつては美術学校に通うなど、もともと芸術に興味があった前田さんは、陶芸の奥深い世界に魅了されていった。
「焼き物って感覚だけじゃなく、釉薬とかは計算が大事。手法が科学的でおもしろいなと思って。素材が自然由来なので鉄分や水分の量が少しずつ異なり、それは焼き時間や焼き加減にも影響します。焼き上がるまではどんな作品になるか未知の世界ですが、その分うまくできたときに大きな喜びを感じます」。大学院卒業後に京都の窯元や陶芸作家のもとで約4年修業を積み、2017年に独立。現在は窓から比叡山も望める高台に立つ自宅兼工房で、作陶活動に励む日々だ。
前田さんは花をモチーフにした作品が代名詞。レースのような細かい模様が施されたうつわは、洋食器のような雰囲気をまとう。「自然界のものが好きなので、花などの植物をモチーフにしています。うつわは盛って完成するものですが、盛る前から完成していてもいいかなと。小さい娘が、お花のお皿かわいいね、素敵だねって言ってくれるのが嬉しいですね」と二児の母としての顔ものぞかせる。
凹凸で描かれたうつわの模様は、二つの技法から生み出されるものだという。「うつわの内側の模様は生地に型をのせる、打ち込みという技法を使っています。型は磁器土を焼いて自作したもの。模様は逆に映るので想像力を働かせながら念入りに作らないといけません」。打ち込みの技法はうつわの内側にしか使えないため、外側にはもうひとつの技法のスポイトで描くイッチンが用いられる。
「模様や形については計算しないでやった方が向いているので、下絵などもなく気持ちのおもむくままに仕上げています」。彫刻のようにも見える繊細な柄を生み出す打ち込み、そして滴る水滴のようなイッチン模様。そこに計算されたオリジナルの釉薬が合わさり、独特の美しい表情を持つうつわが完成するようだ。
最近では染付の技法を使ったシリーズにも力を入れているそう。白地に呉須の青色で描かれた模様は、どこか素朴な雰囲気。
オランダのデルフト焼を思わす陶器のような味わいも感じられる。「私はいろいろな技法を使うのが好きなので、今後はまた違う技法で作品を手掛けられたらと思います。オブジェのようなものも作っていきたいですね」。今後も意欲的に個展や企画展を開催していくとのこと。新たな作品が登場するのを楽しみに待ちたい。
前田麻美
まえだあさみ
1988年東京生まれ東京育ち。京都の大学院で哲学を学んだあと、陶芸の道へ。[M KYOTO CAFE by Leaf]2022年11月1日~12月31日に企画展、[GOOD NATURE STATION]で11月16日~12月15日に展示会予定。
https://www.instagram.com/maedasami/
PHOTO/高見尊裕、TEXT/板倉詠子
取材件数年間600件以上!京都・滋賀を知り尽くした編集部厳選のお取り寄せサイト。
今なら公式LINEお友達登録で500円OFFクーポン発行中!!