閉館から1年半で完全復活! 企画上映もパワーアップ
1963年、邦画を中心に上映する劇場として開業。しかし1970年代、カラーテレビの本格的な普及によって観客が減少、南区に数ヶ所あった劇場が閉館に追いやられる中、京都みなみ会館は成人映画などで差別化を図り、生き残ってきたという。館長の吉田由利香さんは、紆余曲折して今に至る劇場の歴史を詳しく教えてくれました。
「1970〜80年代、午前はアンパンマン、午後はポルノなんていう、今では考えられないスケジュールもあったそうですが(笑)。1988年のリニューアルを機に一般シアターとして復活。アート系作品の上映が中心となりました。ほかではやらないオカルト、ゾンビ系の紹介、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーといった巨匠監督たちの特集上映、俳優やジャンルのテーマを絞って4作品ほどを一晩で鑑賞するオールナイト上映がはじまったのもこのころ。 京都みなみ会館らしさが培われ、映画ファンに根付いた時代だと思います。」
逆境に強いことを誇りに
2010年ごろ、それまでイベントを企画していた会社が退き、ロードショー上映に力を入れたことでファンが一時遠のいてしまいます。しかし、逆境に強いのも京都みなみ会館のDNA。館長に就任したての吉田さんを中心に若いスタッフが力を合わせ、ファンを取り戻していきました。
「施設の老朽化が理由で2018年に一時閉館しましたが、場所を変えて2019年に再開。スクリーンが1つから3つに増えたことで、いろんな可能性が広がりました。」と吉田さんは語ってくれました。スクリーンが増えたことで、スタッフも観客の方も、じっくり作品と向き合える環境が整ったそう。
「1スクリーンの時代は、1日に数回上映したくても、たくさんの未公開作品が詰まっていてできなかった。でも今は公開作品自体も増え、1日数回、長期間公開することもできるようになりました。舞台挨拶やトークショーも毎週のように行っていて、いろんな目的を胸に、いろんな方が劇場に来てくれています。」
「今後の目標は、自分たちの配給作品を世に送り出すこと。2016年に上映権を獲得したデヴィッド・ボウイの主演作『地球に落ちて来た男』のように配給に携わり、自分たちの好きな作品を京都みなみ会館から各地の劇場に発信できたら嬉しいです。」インターネットで指定席予約も可能になっているので、次の上映スケジュールをチェックして、新生・京都みなみ会館をその目で確かめてみてください。
観て欲しい映画
※新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、公開日が異なる場合があります。公式サイトやSNSにてご確認ください
ブルース・リーの師匠を描く人気シリーズ
『イップ・マン 完結』2020年7月3日(金)公開
ブルース・リーが生涯で唯一、師匠と呼んだ詠春拳の達人イップ・マンを描いた人気シリーズが4作目で完結。1964年、サンフランシスコに渡って目の当たりにしたのは、同胞たちの厳しい現実。イップ・マンは宣告された病を隠し、人々の誇りのために立ち上がる。
監督/ウィルソン・イップ 出演/ドニー・イェン、ウー・ユエ、ヴァネス・ウー/'19香港/ギャガ・プラス/1時間45分
極限の状況で暴かれる人間という生物の本能
『人間の時間』2020年6月26日(金)公開
世界三大映画祭を制覇した実力と、政治的メッセージの強い作風で知られるキム・ギドク監督の新作。最新作で描かれるのは、人間の本能的な欲望。さまざまな人間が乗り合うクルーズ船が異次元に迷い込み、平常心を失った乗客たちは生き残るために凶暴さを増していく。
監督・脚本/キム・ギドク 出演/藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、オダギリジョー '18韓国/太秦/2時間2分
人種差別、男尊女卑・・・銃を片手に復讐へと向かう先は
『ナイチンゲール』2020年6月26日(金)公開
第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門唯一の女性監督作品。物語の舞台は19世紀、オーストラリアのタスマニア地方。盗みを働き流刑囚となったクレア。刑期を終えても釈放されず、軍将校にかけあった家族も悲劇に巻き込まれてしまう。
監督・脚本/ジェニファー・ケント 出演/アイスリング・フランシオシ、サム・クラフリン、バイカリ・ガナンバル '18オーストラリア、カナダ、アメリカ/トランスフォーマー/2時間16分
フランスを代表する女優たちの美しいこと!
『ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち』近日公開
2019年1月にこの世を去ったフランス音楽界の巨匠、ミシェル・ルグラン。ジャック・ドゥミ監督の伝説的名作『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』、ジャン=リュック・ゴダール監督とコンビを組んだ『女は女である』など、名監督とコラボレーションした7作品を特集。