京都人に愛され続ける、いきつけアート系映画館
「河原町三条にあった京都朝日シネマは、立ち上げメンバーであり支配人だった神谷雅子さんが、政治や社会問題をテーマにしたドラマやドキュメンタリー、アジア映画など幅広い作品を紹介されていました。京都を代表するアートシアターとして愛されていたと聞いています。」と語ってくれたのは、スタッフの川添結生さん。
京都朝日シネマ閉館に際して、全国から集まった存続を願う署名は7000人以上。日本映画発祥の地・京都に根付いたアートシアターの文化を絶やしてはならないと神谷さんたちが奔走し、新たな場所に作りあげたのが京都シネマでした。現在は、川添さんをはじめとする若いスタッフたちが、その映画愛を受け継いでいます。
「受付にいらして鑑賞直後の感想をくださったり、他館で上映しているおすすめ作品を教えてくださったり。京都シネマが好きな方は、本当に映画好き。お話をしていても面白いです。ロビーでは、作品紹介付きのポスターや、これから公開になる作品のチラシ、モニターで予告編を流すなど、いろんな形で情報を発信していますので、気軽にお立ち寄りいただきたいです。『今から観られる作品で、どれがおすすめ?』なんていうお問い合わせも大歓迎です。時間がゆるす限り、見どころも合わせてお話しさせていただきますので、気軽にお声がけください。」
多様性を認め、新たな気づきを与えてくれる場所
スマホの電源をオフにし、暗闇の中で目の前に広がる世界に没入。「一人でじっくり観る映画もいいけれど、たまには誰かと観る映画もおすすめですよ」と川添さん。社会の片隅に生きる人々のことや、遠く離れた異国の生活など、日常生活では話題にのぼらない映画のテーマについて、自分の意見を語り、友人の意見を聞く時間が心を豊かに。 京都シネマは多様性を認め、新たな気づきを与えてくれる、そんな場所なのだ。
「これからは、開館当初から掲げているフレーズ〝いきつけの映画館、つくりませんか〟を、若い世代にも発信していきたいと思っています。自分より下の世代にも映画館で映画を観る楽しみを伝えていきたいです。」
[COCON KARASUMA]の対象店舗のレシートを見せれば鑑賞料金が割引になり、映画の半券を見せれば対象店舗で特典が受けられるなど、商業施設ならではのお得なサービスもあり。また6月30日までは新規会員を募集中。入会金4000円の一般会員になれば、招待券2枚がもらえて、通常鑑賞料金1000円、名画リレー鑑賞料金は500円に。いきつけの映画館がある新生活、はじめてみて。
観て欲しい映画
※新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、公開日が異なる場合があります。公式サイトやSNSにてご確認ください
狂信的な思想に取り憑かれ揺れ動く感情を描く人間ドラマ
『その手に触れるまで』2020年6月19日(金)公開
ベルギーに暮らす13歳のアメッドは、ゲーム好きの普通の少年。しかし尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込み、学校の先生を抹殺しようとしてしまう。多くの人と関わることで、見えてくる自分なりの“正解“。少年の感情が変化し成長していく様を丁寧に描く。
脚本・監督/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 出演/イディル・ベン・アディ、ミリエム・アケディウ、オリヴィエ・ボノー/'19ベルギー、フランス/ビターズ・エンド/1時間24分
“この世のエデン”と称される世界遺産が舞台
『ポルトガル、夏の終わり』2020年8月21日(金)公開
イザベル・ユペール演じる主人公の女優・フランキーは、夏の終わりのバケーションと称して、ポルトガルの避暑地・シントラに家族と友人を呼び寄せる。死期を悟ったフランキーは、これから皆が問題なく暮らせるよう段取りをつけるつもりだったが、ことは筋書き通り進まない。
監督・脚本/アイラ・サックス 出演/イザベル・ユペール、ブレンダン・グリーソン、マリサ・トメイ/'19フランス、ポルトガル/ギャガ/1時間40分
ブラジルから届いた愛のある温かい人間ドラマ
『ぶあいそうな手紙』2020年7月31日(金)公開
舞台はブラジル南部、ポルトアレグレの街。78歳の独居老人・エルネストはほとんど目が見えなくなっていた。ある日、一通の手紙が届き、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。手紙の代読と手紙の代筆を通して深まる交流を温かく描いたハートウォーミングストーリー。
監督・脚本/アナ・ルイーザ・アゼヴェード 出演/ホルヘ・ボラーニ、ガブリエラ・ポエステル、ジュリオ・アンドラーヂ、ホルヘ・デリアハグ/'19ブラジル/ムヴィオラ/2時間3分