『僕の名はアラム』 ウィリアム・サローヤン 著
9歳の少年アラムとそれを取りまく人々の暮らしを生き生きと、ユーモラスに描いた短編集です。
一見すると単なるハートウォーミングな滑稽譚なのですが、それだけでは片付けられない凄みがあります。かつて過ごしたうるわしい日々を、偽善の臭みなく再構成した、ぎりぎりのバランスで成り立っている小説だと思います。
『僕の名はアラム』 ウィリアム・サローヤン 著 新潮社/520円(税別)
あらすじ(Books 出版書誌データベースより引用)
僕の名はアラム、九歳。世界は想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていた――。アルメニア移民の子として生まれたサローヤンが、故郷の小さな町を舞台に描いた代表作を新訳。貧しくもあたたかな大家族に囲まれ、何もかもが冒険だったあの頃。いとこがどこかからか連れてきた馬。穀潰しのおじさんとの遠出。町にやってきたサーカス……。素朴なユーモアで彩られた愛すべき世界。