Leaf KYOTO 地元情報誌Leafがお届け!

FOLLOW US

2023.2.23
  • LINE
  • FaceBook
  • twitter
田中酒造の仕込みの様子

甲賀の[田中酒造]を訪ねてみた/滋賀・びわ湖の酒蔵を訪ねる

日本一の湖・琵琶湖を中心に平野部が広がり、その周りの山々からの伏流水が今でも多くの酒蔵の仕込み水となっている滋賀。個性豊かな酒蔵と日本酒造りへの思いに注目する。第10回目は、春の訪れを待つ「和醸良酒」、甲賀市甲賀にある[田中酒造]をたずねた。

1.人を楽しくして、 人間関係を円滑にする

「この辺り、細かく言うと『清水ヶ下』という地名なんです。水の良さを表してますよね」と教えてくれた[田中酒造]代表取締役・田中重哉さん。

田中酒造の田中さん

「飲んでみます?」と差し出されたのは、酒の仕込みにも使っている井戸水。弱軟水のやわらかい水は、飲んだときに体にすっと馴染むようにやさしく、まろやかだ。

田中酒造の外観

[田中酒造]がこの地で酒造りをはじめてから重哉さんで五代目。訪れた一月は、妻の智子さんと数人で仕込みをしている真っ最中だ。
重哉さんが蔵に入った平成8年には、能登から杜氏が来ていたが、平成12年からは重哉さんが杜氏を務める。重哉さんが掲げる[田中酒造]のモットーは、「和醸良酒」。美味しいお酒で縁をつなぐという意味だ。

田中酒造のモットー

重哉さんが酒造りをはじめた当初に見たある出来事が、酒造りへの想いを強くした。自分が醸造したお酒を人が飲む様子を初めて見たときのことだ。
「年配の男性が、自分の造った酒を飲んで、楽しそうに酔っ払っているのをたまたま見たんです。これって結構すごいことをしてるんだなって。お酒を真ん中に置いて、酌み交わすことで、ギクシャクしていた人間関係が仲良くなったりもするでしょう。人を楽しくできるもの、人に役立つものを僕は水と米を使って造っていると実感しました」。

2.酒を贈る気持ちを手書きラベルに込めて

[田中酒造]の「春乃峰」は少し甘めで、濃厚な飲み口のお酒。「ずっとここの水と米を使っていますから、それは創業以来、変わってないと思います」と重哉さん。

田中酒造の仕込みの様子

「春乃峰」には、さまざまなバリエーションがあるが、筆文字で書かれたラベルは妻の智子さんによるもの。もともと書道の心得があった智子さんが書き始めたところ評判を呼び、今では、贈り物などの用途で、オリジナルのラベルを書く智子さんは「最初はラベルってお酒の顔ですから、私が書くなんて大変なことだと思っていました。でも喜んでくれる方がおられて、リクエストにお応えしています」と振り返る。お酒を贈る気持ちが表現されたような智子さんの文字。[田中酒造]の温かい心遣いが表れているサービスだ。
現在、[Tomo工房]という屋号で、お酒のラベルの他、Tシャツや小物に名前やメッセージ、イラストを描くなど、さまざまなニーズに対応。お酒と一緒にプレゼントする人も多いそうだ。

3.100周年を機にカフェをオープン

100周年を迎えたのを機に、新たな取り組みが始まった。それが酒蔵の前に建てた物販とカフェのスペース。
「蔵見学に来られたお客様に試飲をしてもらっていたのですが、食事ができるといいなという要望も出てきて、母屋で対応したりもしてたんです。昔から親戚が集まって宴会することが多い家でしたので、お客さんを招き入れることはそんなに苦にならなかったんですよ。でももっと多くの人に、気軽に楽しんでもらえたらと思って」と重哉さん。

田中酒造のカフェの店内

酒蔵の前に立つ建物は、太い梁が何本も渡された、立派な造り。入ってすぐのスペースには[田中酒造]の商品をはじめ、お菓子や手作り雑貨などが並ぶ。その横がカフェスペース。スイーツのほか、週末にはランチを提供している。
酒粕ハンバーグや酒粕のチャウダー、酒粕入りフォンダンショコラなど、酒粕を使ったメニューや、麹や酒を取り入れた多彩な料理やスイーツが酒の楽しみ方を広げてくれる。

田中酒造の土・日曜限定のワンプレートランチ

土・日曜限定のワンプレートランチ1500円は週替わりの主菜3品と麹ごはん、サラダ、酒粕チャウダーが付く

「例えば酒粕で粕汁はよく作られると思いますが、他にもどういう使い方ができるのかを提案できたら。ちょっと下ごしらえに使うだけでも素材がやわらかくなったり臭みが取れたりするんです。それがワンプレートのランチに盛り込まれています。最近では、テイクアウトもして欲しいというご要望があって、ごはんの上におかずをのせたミニ丼も考案したんです」。智子さんのアイデアから、どんどん生まれる新しい取り組み。だがその根底にあるのは、お酒を楽しんでほしい、もらった人が喜んでほしい、そんな想いだ。

田中酒造のスイーツ盛り合わせ

パティシエのスタッフが作るスイーツ盛り合わせ1000円

取材に訪れたのは、雪が甲賀の田畑を真っ白にする真冬。やがて[田中酒造]の東に望む鈴鹿の山々に春の気配がしはじめると、「春乃峰」の新酒が出来上がる。
温かい気持ちが詰まった今年の酒が届くのはもうすぐだ。

田中酒造の田中さんご夫妻

田中重哉さん(写真右)/[田中酒造]の五代目蔵元。大学で経営を学び、卒業後は酒問屋に勤務。平成8年家業に入り、杜氏のもとで修業。平成12年に蔵元杜氏となる。田中智子さん(写真左)/21年前に重哉さんと結婚してから、得意な書道を活かしてオリジナルラベルの作成を手掛けるほか、仕込み時期は酒造りのパートナーに

4.一度は飲みたい[田中酒造]のお酒コレクション

春乃峰 純米大吟醸酒 720ml 2860円/契約栽培の甲賀産山田錦を100%使用。飲んだ瞬間広がる甘み、あっさりとした後口が特徴。冷で飲むのがおすすめ。通年販売

春乃峰 純米吟醸 玉栄55 生酒720ml 2178円/地元産玉栄を使用。香り系酵母の華やかさとしっかりとした米の味わいを感じられる生酒。冷で飲むのがおすすめ。通年販売。 

春乃峰 特別純米 無濾過生原酒 楓葉~かえで720ml 1355円/新酒しぼりたてを瓶貯蔵でひと夏熟成。酸味の利いた白ワインを思わせる純米酒。冷か燗で飲むのがおすすめ。通年販売

春乃峰 大吟醸 Both g 720ml 1500円/華やかな香りと軽い酸が心地よく飲み飽きない大吟醸生酒。日本酒ビギナーにもおすすめ。飲み方は冷で。通年販売

春乃峰 桃リキュール ぴぃ~ち 720ml 1320円/甲賀市産の桃を果肉ごと仕込んだ一本。桃の甘みと酸味が爽やか。冷やしてサイダー割りも美味。通年販売

5.[田中酒造]のお酒が買えるところ

■滋賀県
[小川酒店]077-524-2203/滋賀県大津市浜大津2丁目1-31
[加藤酒店]077-522-4546/滋賀県大津市木下町13-1
[土井酒店] 0748-33-9408/滋賀県近江八幡市中小森町328
[リカーショップ ナカヤマ]077-589-3768/滋賀県野洲市西河原2534
[近鉄 草津店]077-564-1111/滋賀県草津市渋川1丁目1-50

6.[田中酒造]のお酒が飲めるところ

■滋賀県
[とりいち 水口店]0748-78-0667/滋賀県甲賀市水口町中邸5-36
[魚松 本店]0748-88-2206/滋賀県甲賀市甲賀町神2376
[魚松 信楽店]0748-83-1525/滋賀県甲賀市信楽町牧1795
[とりやす]0748-88-2813/滋賀県甲賀市甲賀町大原市場755
[直]077-572-9711/滋賀県大津市末広町3-1
[ノミビョウタン]077-525-0608/滋賀県大津市竜が丘3-7

7.田中さんおすすめ!ご近所の美味しいアテ①[ピザ&からあげ ピザカラ屋]

[ピザ&からあげ ピザカラ屋]のねぎとしらすの和風ピザ

ソースにねぎとダシを使い和テイストに仕上げた新作メニューのねぎとしらすの和風ピザ728円。48時間以上発酵させた生地はモチモチで薄すぎず厚すぎず、ちょうど食べやすい厚さ

ピザ&からあげ ピザカラ屋

  • ピザ&からあげ ピザカラや
  • 滋賀県甲賀市甲賀町大原市場838
  • JR「甲賀駅」から徒歩3分
  • Tel.0748-60-9444

8.田中さんおすすめ! ご近所の美味しいアテ②[COCCALA BAKE&CAFÉ]

COCCALA BAKE&CAFÉのシフォンケーキ

黄身の濃い地元の平飼い卵を使用しており、素材の味とふわふわの歯応えを楽しめる。日によってオレンジや紅茶などのテイストも登場。シフォンケーキ220円

COCCALA BAKE&CAFÉ

  • コッカラ ベイク&カフェ
  • 滋賀県甲賀市甲南町野尻431
  • JR「寺庄駅」から徒歩9分
  • Tel.0748-60-9444

9.[田中酒造]の店舗情報

田中酒造のカフェの外観

田中酒造

  • たなかしゅぞう
  • 滋賀県甲賀市甲賀町大原市場474
  • JR「甲賀駅」から徒歩7分
  • Tel.0748-88-2023
  • 9:00~19:00 
  • 水曜休
  • 全席禁煙 完全個室無 駐車場5台
  • https://instagram.com/tanaka_syuzo
  • PHOTO/高見尊裕、TEXT/瓜生朋美
※予告なく記載されている事項が変更されることがありますので、予めご了承ください。
※本サイトは自動翻訳を導入しているため、翻訳文によって本来の日本語の内容と異なる場合があります。

あわせて読みたい

ニュースニュース

特集記事特集記事

注目のイベント注目のイベント

↑

お知らせ