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【滋賀の酒蔵を訪ねる①】[平井商店]/大津
日本一の湖・琵琶湖を中心に平野部が広がり、その周りの山々からの伏流水が今でも多くの酒蔵の仕込み水となっている滋賀。個性豊かな酒蔵と日本酒造りへの思いに注目する。第9回目は、土山が育んだ、水と米と人で醸す、甲賀市にある[安井酒造場]をたずねた。
茶畑が広がる甲賀市土山町。旧東海道沿いにある[安井酒造場]は、明治17(1884)年の創業以来、この地で酒造りを続けている。
昔ながらの建物を修復しながら使っており、柱にかけられた振り子時計が静かに時を刻んでいる。そんな歴史を感じる空間に、芳醇な日本酒の香りが満ちる。「古いでしょう。うちにあるのは井戸水と古い佐瀬式の機械と煙突ぐらいだね」と笑うのは、五代目蔵元で杜氏の安井利晴さん。
利晴さんの言葉にも出た井戸は、蔵の中央あたりにある。この井戸から湧く水が、初代がこの場所で酒造りをするようになったきっかけだとか。「元々ここにはお医者さんの家があったそうですが、水がいいからって初代がここに移り住んで、酒を造り始めたという話が伝わっています」。
[安井酒造場]の酒造りは、秋、井戸を洗い清める「井戸替え」から始まる。一般からも参加者を募り、井戸の底石を引き上げ、たわしで擦り洗う。酒造りができる喜びを実感し、感謝を込めてきれいに掃除するのだ。
「酒は“水と米”で造るっていうけど、うちの酒は“水と米”で造る。水が先。この井戸水はうちの酒の命なんです」と利晴さん。鈴鹿山系の伏流水が湧き出た井戸水は、やわらかく、まろやか。[安井酒造場]の代表銘柄・初桜の味わいの決め手だ。もちろん米も重要。滋賀県産にこだわり、山田錦のほか、土山産の日本晴やみずかがみといった飯米も使う。「水も、米も、人もメードイン土山ですよ」と、地元への想いが溢れる。まさに土山を味わう酒だ。
現在、利晴さんが杜氏を務め、妻の恵さん、息子の太郎さん、そして近隣の茶農家の方も参加して酒造りをしている。
東京の酒蔵などで修業した利晴さんが実家へ戻ってきたのは今から三十年ほど前、23歳の時だ。当時、[安井酒造場]は “地域の蔵元”として人々に愛される存在だった。
「蔵で酒を造って、前にある店で売って、それを地元の人たちが買ってくれる。20年位前までは、そんな商売でした。でも時代が変わって、それだけでは立ち行かなくなった。酒販店さんを通して、広く売らないといけなくなって」と振り返る。
さらにお世話になっていた能登杜氏が体調を崩したこともあり、利晴さんが杜氏も兼務することに。「杜氏さんが蔵に来られなくなって、FAXで逐一報告して、指導してもらいながら酒造りを覚えました。杜氏さんが『酒造りは簡単だよ。同じようにしたらできる』って言うんですよ(笑)。最初はとにかく一生懸命でした。でもだんだんもっといい酒を造りたいって、勉強しようって思いますよね。だから日本酒造りは面白い。毎年、毎年面白くなっていってます」と利晴さん。
六代目となる太郎さんが酒造りに参加するようになったのは3年前。
「水がいいっていうのが、うちの強いところ。お米も二年前から自分たちでも作り始めました。この土地に大切なものが詰まってる」と、酒造りとともにふるさと土山への想いも受け継ぐ。
そして新しい挑戦も。太郎さんが造った生酛太郎のシリーズもデビューしている。自らニューハツサクラとデザインしたラベルも評判だ。
「土山からは若者が出て行ってしまう。[安井酒造場]の酒が売れて、少しでも大きくなれて、地元で働く人を増やせたら、もっと盛り上がると思う。最終的にはそれが目標ですね」と地域への貢献を語る太郎さん。
利晴さんも「そんなにめちゃくちゃ拡大しようということはないけれど、全国各地でうちの酒が飲めるようになったらいいと思います」と話す。
しかしそれは人を介してのこと。ネット販売を行っていないのも、大きな特徴だ。「うちの酒を美味しいと思ってくれた酒販店さんとお付き合いをして、そうして広まっていけたら。顔の見える商売がいいよ。やっぱり人と会いたいじゃないですか」。
〝笑顔の溢れるうまい酒〟が[安井酒造場]のキャッチフレーズ。酒を酌み交わしながら、この酒が生まれた土山を知ってもらい、楽しい時間に顔がほころぶ。そんなシーンを数多く作り出すことが、安井さんたちの願いだ。
五代目蔵元の安井利晴さん(写真 左)は1967年生まれ。高校卒業後、 修業期間を経て23歳で家業に入る。妻の恵さん(写真右)は書道教室も開いていて、ラベルにその達筆な文字を見ることができる。安井太郎さん(写真中)は1994年生まれ。利晴さん・恵さん夫妻の長男で六代目。10年ほど前から酒造りの道へ。家業に入り3年。季節限定のポップなラベルを考案するなど、新しい角度からも蔵を支える。
生酛太郎 玉栄 720ml 1441円/強すぎず、軽すぎず。程良い味わいの生酛太郎に穏やかな甘みと旨みを加えた一本。燗または冷で。通年販売。
生酛太郎 吟吹雪 720ml 1650円/甘みが強めだが酸味もあるバランスが良い酒。すっきりしているので夏にもおすすめ。冷で。通年販売。
純米吟醸火入 山田百恵 720ml 1848円/山田錦を100%使用し、55%精米の贅沢な酒。[安井酒造場]の最高ランク。常温または冷で。通年販売。
晴 火入 720ml 1362円/利晴さんが最初に造った酒。常温タンクで熟成した純米酒で、やや黄金色。燗で。通年販売。
みずかがみ 純米火入 720ml 1364円/土山産の飯米、みずかがみを使用した辛口の酒。日本酒ファンを唸らせる味わい。燗・冷で。通年販売。
■滋賀県
[小川酒店] 077-524-2203/滋賀県大津市浜大津2丁目1-31
[加藤酒店] 077-522-4546/滋賀県大津市木下町13-1
[酒のきただ] 077-552-8070/滋賀県栗東市北中小路3
[酒のかなざわ] 077-562-0007/滋賀県草津市追分700-24
[大桝屋] 0748-27-0014/滋賀県東近江市山上町447
[酒のさかえや] 0748-33-3311/滋賀県近江八幡市為心町5
[酒酎屋たきもと] 077-581-0322/滋賀県守山市今宿2丁目11-18
[さざなみ酒店] 0749-22-1201/滋賀県彦根市佐和町11-9
[酒舗まえたに] 0749-22-0575/滋賀県彦根市船町5-10
[ひのや酒店] 0748-66-0092/滋賀県甲賀市土山町北土山2192-1
[マルフク酒店] 0748-86-2116/滋賀県甲賀市甲南町深川2200
■京都府
[西本酒店] 075-221-0452/京都府京都市中京区姉小路通西洞院西入宮木町480
[上田酒店] 075-781-5265/京都府京都市左京区山端川原町7
岡山県寄島産の牡蠣を使用している。粒はそう大きくないが濃厚で中身が詰まっているそう。蒸してあっさりと召し上がれ、むしかき650円
プリプリの牡蠣をカリっと揚げてフライにしても、クリーミィな舌触りや濃厚な味わいは健在。こちらは広島県産を使用したかきフライ580円
焙じ茶のプリンの上に蜜煮小豆のゼリー寄せを組み合わせた二層構造のデザート。なめらかな中にも舌触りや風味の違いが楽しめる。焙じ茶ぷりん1個375円
香りを際立たせた焙じ茶を、メレンゲとホワイトチョコレートに加え焼き上げた濃厚な一品。しっとりふわふわの口当たりが美味。焙じ茶スフレ5個入り1188円
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