京都にある日本最古のエレベーターが製造・輸入から1...
2021年11月19日 open
今週分の仕事を片付けて、週末へと向かう金曜の夕方。ビニールカーテンをくぐる人の表情は、今週で最も明るいかもしれない。昭和31年から約60年間、因幡薬師の前には大人が疲れを癒す屋台があった。
カウンター奥に立ち続けたいなばさんが2018年に亡くなられ、一旦は閉店。その後も常連さんから「あんないい店がなくなるのは、もったいない」と惜しむ声が途切れることはなく、息子さんが屋台を少しずつ修繕。2021年に復活し、奥さんと二人三脚で金・土曜のみの営業を続けている。
大根、コンニャク、厚揚げ···とおでんダネが記された木札の下には、いつも微笑む父の写真が。「常連さんとはようしゃべってたみたいで。この屋台が大好きで、遅い時は夜中過ぎて3時頃までやって、寝泊まりすることもありました。ここがもうひとつの家みたいなものやったと思います」と話す息子さん。
飲食業は初めてだというおふたり、復活前はどうなることかと不安もあったそうだが「やってみたらお客さんとの会話が楽しくて」と奥さん。サラリーマンも、酒場好きも、SNSを見てやってきた若い女性も、みんな幸せそうにおでんをつつく。カーテンの向こうには、昭和から変わることのない人情が息づいている。
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