京都府の最北端に位置する丹後半島。美しい海と山谷の緑に囲まれた自然豊かなこの場所に、[おのじん醸造]はある。創業は1912(大正元)年。初代の甚左衛門が修行先から故郷に戻り、地元で収穫した大豆・小⻨を使って味噌と醤油の製造を始めた。当時の丹後地域はちりめんの一大生産地であり、地元の製糸工場や機織工場を中心に味噌や醤油を提供していたという。戦後間もなく、醸造に適した湧き水を求め、現在工場を構える峰山町杉谷へ移転。創業時からの製法を今も受け継ぎ、初代の名が付いた濃口醤油「甚左衛門」は古式天然醸造法で仕上げる。大豆と小麦から作った麹を木桶に仕込み、添加物を一切加えずに3年かけてゆっくりと発酵・熟成をさせる古式天然醸造法では、醤油本来の穏やかな風味が生まれるという。
伝統を守りながらも新たな分野での商品開発も進め、現在は味噌と醤油だけでなく、ぽんずや糀製品、ドレッシングなどの多彩な商品を製造販売。鳴き砂で知られる琴引浜の海水を煮詰めて作った海水塩や丹後産の黒豆、伊根町の酒蔵の酒粕など、地元の良質な素材も活かし、この地ならではの味を作り出している。普段の食事をランクアップしてくれる[おのじん醸造]の調味料を、活用してみてはいかが。