
関西のみならず全国の食通が何時間も掛け、わざわざ訪れる名店。
薪を使った日本料理店として新装開店したのは3年前のこと。
壁や天井に施された手すきの和紙や窯の火が絶妙に見える木のカウンターなど、自然の素材に囲まれた店内は清々しい空気が漂う。
店主の吉岡幸宣さんは、京丹後生まれ。[室町 和久傳]などで修業し、帰郷。家業の仕出し店で働き、2006年に[魚菜料理 縄屋]を開店
「薪は灰になるまでのサイクルが早く、火力が安定しづらい。扱いは難しいですが、水分を含むのでふっくらと焼き上がるのが魅力ですね。大きな炎からやんわりとした炎まで、素材や料理に合わせて薪火の特性を使い分けています」と店主の吉岡さん。
薪をくべてからすぐの強い炎では、土鍋の釜を使ってごはんを炊く。そのためコースの最初に登場するのは煮えばなと呼ばれる、水分を多く含む炊きたてのごはんだ。
料理はすべて1万6500円(サ別)のコースの一例。最初の料理は煮えばな。土鍋は強い火力が必要なため、最初の炎が上がっている時に炊く。米は京丹後産コシヒカリを使用している
炭火になってからは魚や野菜をじっくりと。
約12品ものコースを、薪が燃え尽きるまでにタイミングを合わせて構成するのは見事という他ない。
燻製したマグロを太刀魚で巻き白身と赤身を合体させた、新しき魚という名の一品。トマトソースが爽やか
薪火の料理を完成させるために、吉岡さんは日々食材の個性とも向き合う。
使うのは地元産をメインに全国の漁師から仕入れた天然の魚介をはじめ、お母さんが育てた自家菜園の野菜や地元の有機栽培野菜。
イサキのアラで取ったダシに風味豊かなアンズダケを加えた餡を、イサキの身とごはんとともに味わう
炎を眺めながらここでしか味わえない唯一無二の料理をいただく、至福の時間を過ごしてみたい。
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