[京都髙島屋S.C.]の初売りは1月3日(金)から...
「美味しく新しい情報を届けたい!」と、京都の街を歩きまわるLeaf編集部員ですが、プライベートではフレンチと縁遠い生活。「そろそろお気に入りのフレンチを」と思っていた矢先、耳にしたのは2020年3月20日にオープンした [il fera jour(イルフラジュール)]。新京極六角のお店へさっそく訪問してきました。フレンチ初心者に好評な夜のおまかせコース5000円をレポートします!
日本各地、さらに本場・フランスでの修業の経験もある山本さん夫婦が開いたフレンチレストラン [il fera jour(イルフラジュール)]。近江牛カレーやビーフストロガノフをはじめとした洋食ランチが980円〜とお手頃な価格で味わえることもあり、”身近なフレンチ”として認知されつつあります。自家農園で育てられた季節野菜、貴重なはちみつ、アイスクリーム、野菜を練り込んだパンに至るまで、すべて手作りがモットー。夜のおまかせコースは全10品で5000円というコスパの良さも嬉しく、大切な誰かに教えたくなる隠れた名店なのです。
太陽のような明るい笑顔で出迎えてくれたのは、オーナーシェフの奥さま・亜紗子さん。レストランでのパティシエ経験も豊富で、コースのデザートは亜紗子さんの担当です。
新京極六角のビル2F。賑やかな新京極通りですが、お店に入ると一変、日々の気忙しさが遠のくような、おだやかな時間が流れています。
テーブルには引き出しが備えつけられていて、カトラリーが収納できる仕掛けにも驚きます。お箸も用意されているのでフォークやナイフに慣れない初心者さんも安心です。
シェフの山本展之さんは、大阪の[大阪富士屋ホテル]、岐阜・下呂温泉の欧風レストラン[水明館バーデンバーデン]、名古屋の[ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ]などで修業した後に独立。
[il fera jour(イルフラジュール)]を語る上で欠かせないのが、自家農園で毎朝収穫され、その日のうちに届けられる新鮮な野菜。京都市内から車で30分、亀岡市篠町の畑では、亜紗子さんのお父さんが自慢の野菜の手入れをしています。そこで目にした野菜の多種多様なこと! 壬生菜、みず菜、九条ねぎ、伏見とうがらしといった京都の伝統野菜から、スイスチャードやメキャベツ、ブロッコリーといったフレンチには欠かせない西洋野菜まで、季節に寄り添った野菜づくりが続けられています。畑は2ヶ所に渡り、もう一方では谷から流れくる水でせり、クレソン、葉わさびなどを育てているそうです。
自家農園の魅力は、多品種を少量ずつ作れることだけではなく、料理に使いたいサイズで収穫できる点。例えば、ネギひとつとっても、まだ若く細いネギは前菜やスープに使用、冬になったら内部のとろみをグリルで楽しみ、ネギ坊主と呼ばれるつぼみをサクッと揚げて春の一品に。「自家農園の野菜を使っているからこそ、野菜の持つポテンシャルを最大限に活かし、様々な表情を提供できるんです」と、畑を守る亜紗子さんのお父さんは話してくれました。
お父さんは、寿司職人の経験もあり料理全般に詳しい。「家族で食べる分は自分の手で作ろう」と始めた畑で、常時20種ほどの野菜を育てています。
取材日の朝、この日収穫したものだけでもこの通り元気いっぱいの野菜が種類豊富に並びます。立派な茎がシュッと伸びた里芋、やわらかな壬生菜の葉っぱ……採れたての野菜は自然からの大切な恵みなのだと実感します。
お父さんのお仕事は畑仕事だけにあらず。なんと養蜂も行っていて、[il fera jour]で使われるはちみつはすべて自家製。日本みつばちが山から集めた百花蜜のピュアな甘さは感動ものです。
料理に合わせて素材を集めるのではなく、収穫した素材を前にベストな調理法を導き出すのがシェフの手法なので、コース内容が決まるのも当日だというのが日常。夏は賀茂茄子や万願寺とうがらし、底冷えする冬は壬生菜や菊菜といった葉ものに加えて大根など根菜など、毎日少しずつ移り変わってゆく野菜の顔ぶれが、京都の“今”を伝えてくれます。ディナーコースでは、巣箱から採蜜した京都産はちみつ、自家製の燻製や発酵食品、島根県隠岐島にいる知人の漁師から仕入れる魚介類と、生産者の顔が見える食材が次々と登場します。
夜のおまかせコース5,000円は、アミューズ、前菜2品、スープ、リゾット、魚料理、氷菓、肉料理、デザート、小菓子&珈琲付きの全10品。前日までの完全予約制で18時からスタートします。
最初に登場したのは、ヴィジュアルがなんともかわいいミニサイズのピロシキ。中からカレー風味の近江牛とクリームチーズが現れます。少し大きめサイズの持ち帰り用もあります。
この日の前菜2品のうちの一皿は里芋のドフィノア(グラタン)。へしことトラウトサーモンの薫製も、なんとお父さんのお手製です。
スープの後は、人気のリゾット。もち麦を主役に、ムカゴ、枝豆、ベビーリーフなど野菜もたっぷり。ムチッ、プチッとした食感にチキンスープとチーズの旨みが重なります。
ブイヤベースも山本シェフの手にかかると、アートのような一皿に。濃厚な魚介スープに浮かぶのは、柚子でマリネしたコチを中心にイシガレイを巻き、オランデーズソーズをかけて焼いたもの。
近江牛のミスジを使用したステーキ。ほんのり甘酸っぱいヤマモモのソースが和牛の旨みを引き立てます。〆の一品として米粉のタルトにのった近江牛カレーが添えられていました。
締めくくりのデザートを担当しているのは、奥さまの亜紗子さん。季節の食材を使ったミルフィーユ。この日の食材は、ひとつずつ拾って、丁寧に剥いて、甘露煮にした栗。あたたかいパイ生地と、冷たいバニラアイスのコンビーネーションも絶妙です。
8000円のコースで登場するブランマンジェ。蜂蜜の巣箱から採取したはちみつをたっぷりと。お好みで追いはちみつもできます。春は梅の蜜、冬は椿の蜜など、季節によってはちみつの味わいも変化していきます。
まるで山本ファミリーのおうちに招かれ、特別にお裾分けをいただくようにリラックスした気分でいただいた[il fera jour(イルフラジュール)]のディナーコース。「この食材は父が農園で育てたものなんです」「このお魚は鳥取から届きました」など、生産者が見える素材を使っているからこそ、一皿一皿の中には様々なストーリーがあり、その話を聞きながらいただくとより一層美味しさが増しました。気さくに話しかけてくれる山本さんご家族のおかげで、緊張するはずのフレンチもカフェのように気軽に。「今度はあの人にも紹介しよう」と、口コミが口コミを呼び人気が高まっている[il fera jour(イルフラジュール)]。一度足を運べば、こだわりのつまった味、朗らかな人柄に魅了されること間違いなしです!
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