王道から大人の味わいまで![ホテル日航プリンセス京...
京都の街中のまさにど真ん中。誰もがきっと見覚えがあるであろう「屋根に自転車が飾ってある自転車屋さん」こと[辻森自転車商会]。現在この町家を大切に守っているのは三代目店主の宮本大輔さん。
「創業からは100年以上、僕が継いでからもう23年目になりますね。ここは母方の祖母の実家で僕も小さい頃から馴染みがあってよく来ていました。おばあちゃんっ子だったので、ここを継いだら喜んでくれるかなって。大叔父が病気で店を閉めようかとしているときに継ぐことにしたんです」と、24歳の若さですべてを背負う決意をしたときのことを振り返る。
かつてはショーウィンドウとしてズラリと自転車が並んでいた六角通側。現在そこには[Blue Bottle Coffee]があり、自転車店に用がなくても気軽に利用できるのもこちらならでは。
「工務店の方に耐震のチェックをしてもらったら、大きい地震があれば倒壊する危険があることが分かり大規模な修繕をしました。修繕当初は昔のように自転車をズラーっと並べようと思ってたんですが、工事を進めるうちに人を集める中心となる『Cycle Hub』として何かできないかなと。
それを模索するために視察の旅としてヨーロッパを訪れたところ、自転車屋×カフェというのを多く見かけました。カフェだったら人が気軽に集まれるなと思い、[Blue Bottle Coffee]さんに僕からお声掛けしました。すると「あの屋根に自転車が飾ってある自転車屋さんか!」と、知っていただいていたようでトントン拍子に話が進みました。町家を守ったからこそ繋がったご縁なんです」。
「これまでの100年、これからの100年を繋ぐために、残せるものはなるべく残せるようにしています」と宮本さん。梁や壁はもちろん、[Blue Bottle Coffee]2Fにあるバーの窓の格子や低い窓、非常ベル、天井板、さらには開業以来100年以上大切に使われてきた自転車の工具や木の引き出し、戦後から変わらずある屋根の上の自転車などなど…、宮本さんと親族が繋いできた歴史を建物の至る所で感じられる。
「近所のおばあちゃんたちには、「まだ自転車屋さんやってくれてるんやね」「おばあちゃんもおじさんも喜んでるよ」って声を掛けくれるんです。それだけでも本当に残してよかったなって。これからもこの建物と一緒に長く生きていきたいですね」と、これから先の100年を見つめる宮本さん。今日もこの町家とともに街の“HUB”として、訪れる人を温かく出迎えてくれる。
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