[2024]老舗から定番まで!京都のおすすめ抹茶ス...
2007年に発売を開始し、今では京都土産の代表格となったお濃茶ラングドシャ「茶の菓」。京都で誰もが知るこのお菓子はいかにして生まれ、なぜロングセラーとなったのか。生みの親であるエグゼクティブシェフの江﨑靖彦さんとマーケティング部部長の秋田博一さんに、「茶の菓」の知られざる誕生秘話や商品に掛ける想いを伺いました。
ーーーー最初に[マールブランシュ]の始まりについて教えてください。
秋田さん/私たちの会社は、実は戦後間もない頃に開いた純喫茶から始まります。時代の変化に合わせて事業の内容も変わり、[マールブランシュ 京都北山本店]を開店したのが1982年。和菓子店が多く本格的な洋菓子店が少なかった当時の京都で「とびきりのクオリティの洋菓子店」を目指し、高級感を出した店作りを行いました。
モンブランは当初から店の看板商品。本場フランスで出合ったモンブランを京都の方の好みに合わせて、レシピを考案しました。日本では黄色い甘露煮の和栗を使ったものが主流だったのでフランスのマロンペーストを使ったモンブランは注目され、現在も[マールブランシュ]の定番として多くの方に親しんでいただいています。
ーーーー[マールブランシュ]から「茶の菓」が生まれたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
江﨑さん/2006年に当時の社長だった河内誠現会長から、「京都をイメージするようなお菓子を作りたい」と言われまして。「抹茶を使ったラングドシャにホワイトチョコレートを挟むこと」をお題として与えられました。
生ケーキには比較的使いやすい抹茶ですが、焼き菓子になると味と色をうまく出すことが難しい素材。ふちに焼き色が付くのが一般的なラングドシャを、きちんと全面きれいな緑色に焼き上げ、焼きの風味に負けずに抹茶の味をダイレクトに伝えるのは至難の技でしたね。いろいろ試してラングドシャの焼き方の常識を崩し、温度を抑えて焼き上げる方法に辿り着きました。
ーーーー 一般的な薄茶の抹茶ではなく濃茶を使われたのはなぜですか。
江﨑さん/最初は薄茶の方の抹茶で試作を始めたのですが、茶道への造詣が深かった現会長夫人が「濃茶を使うのはどう?」と。
薄茶に比べて苦味や渋味が少ない上質な茶葉の濃茶はコストが掛かるうえ、お菓子に使うのは前代未聞で未知の世界。宇治の茶問屋さんに相談しながら、適した濃茶があるのか模索しました。その結果さまざまなタイプの濃茶をブレンドして味の深みを出すことで、ラングドシャの生地にも合うことが分かりました。薄茶から濃茶に変えることで圧倒的に色が良くなり、風味も強くなりましたね。
ラングドシャのサクッとした歯触りに始まり、口の中で濃茶がホワイトチョコと合わさってまろやかになり、食べ切った時には濃茶の後味が残る。絶妙な余韻は濃茶ならではのものでした。濃茶ってこんなに味わい深いんだなと驚きましたよ。1人では思い付かなかったアイデアだと思います。
ーーーー抹茶とホワイトチョコレートを組み合わせるのは難しかったですか。
江﨑さん/あくまで主役は抹茶のラングドシャで、ホワイトチョコはそれを引き立てるものというイメージでした。抹茶との相性を探るため、当時手に入る国産と外国産のすべてのホワイトチョコレートを取り寄せましたね。
抹茶のラングドシャと合わせて試食を繰り返し、ホワイトチョコのオリジナルレシピを作りました。ラングドシャとのバランスを考えてチョコレートの重さは1枚4gにし、誤差は0.5gまで。パレットに薄く均一に伸ばしたチョコレートをローラーカッターで切り、1枚ずつ計っていました。
ーーーー手作業で行われていたのですね。
江﨑さん/はい、当初はすべて手作業です。ラングドシャをオーブンから出して生温かくなったタイミングで焼き印を押し、チョコが溶けない程度の26〜27度くらいに落ち着いたらチョコを挟んで包装して。
焼き印を押すタイミングがずれると焦げ臭が付くし、ラングドシャは湿気に弱い。おまけに抹茶は退色しやすいので、いかにスムーズに作業を行うかが重要でした。焼き印を効率良く押すため台に少し傾斜を付けるなど、いろいろと工夫をしてね。10人位で並んで、息を合わせてやっていましたよ。
ーーーーさまざまな課題をクリアしてこの商品が誕生したのですね。
江﨑さん/そうですね。当時はだいたい半年くらい掛けて新商品を開発していましたが、「茶の菓」は完成まで1年半掛かりました。
抹茶のお菓子は世の中にすでにたくさん存在したので、「今更抹茶?」という意見があったのも事実です。でも濃茶にホワイトチョコという前例のない組み合わせが正解だったようで、「抹茶は苦手だけどこれなら食べられる!」という声がたくさん届くようになりまして。年配の方にもお子さんにも、幅広く支持していただけました。
[マールブランシュ]は以前全国展開していましたが、「茶の菓」の販売を機に撤退して京都に集約しました。「茶の菓」を京都のお土産として購入いただきたいという強い想いがあったからです。
ーーーー品質を保つためにどのようなことに気を配っていますか。
江﨑さん/「茶の菓」には質の高い宇治茶を使っておりますが、茶葉は自然のもの。その年の気候などによって出来栄えが左右されます。ですので私たちはお菓子作りだけでなく、茶農家さんとコミュニケーションを取りながらチームで茶葉を育てていくことも大切にしています。
茶鑑定士が「茶の菓」のレベルに合うように毎年ブレンドしてくれますがもちろん私もお茶の味を確認し、納得した茶葉のみを使っております。そしてその茶葉の風味を最大限に引き出せるように石臼で丁寧に碾き、時間を掛けて濃茶を作り上げています。
ーーーー季節限定の「茶の菓」シリーズも人気ですね。
秋田さん/夏には「涼 茶の菓」を、秋には「贅沢 茶の菓」を販売しています。「涼 茶の菓」は使用する茶葉を変え、ホワイトチョコレートは挟まずに生地に練り込んでいます。濃茶の味をよりはっきりと感じられ、軽やかな歯応えが夏にぴったりです。
今年で販売4年目となった「贅沢 茶の菓」は、11月の立冬の頃に約半年熟成させた新茶の茶壷の封を切る、口切りという茶事にちなんで販売されるもの。甘みと旨みが凝縮された貴重な茶葉を使っているので、数量限定の生産になります。
濃茶そのものをいただいているかのように風味高いのが特長で、この時期を楽しみにされているお客さんもいらっしゃいます。
ーーーーパッケージにはどんな工夫をされていますか。
秋田さん/商品のコンセプトがパッケージからにじみ出るようにしたいと思っています。シンプルな白いフタにしたのは、開けた時に緑の「茶の菓」がきれいに並ぶ様子を茶畑のように鮮明に見せたかったから。「茶の菓」を開発する時に訪ねた茶園の茶畑の景色を重ねているのです。
光や酸化の影響で色が変化しやすい抹茶のお菓子に透明のフィルムを使うことは普通ありえないようですが、箱を開けた時の最初の印象を大切にしたいという想いがありまして。
その分、外箱は遮光性を高めています。箱の質感にもこだわり、どこに持って行っても誰に差し上げても喜んでいただけるように、高級感や上品さも意識しております。
また店舗ごとの限定パッケージも用意しており、清水坂店には清水寺を、嵐山店には渡月橋をイメージしたデザインも好評です。
ーーーー今後の目標などあれば教えてください。
江﨑さん/2007年の発売時から比べたらありがたいことに生産量はかなり増えましたが、今後も品質を落とさないように、「茶の菓」が京都で長く愛され続けるお菓子であればと思っております。
私にとって「茶の菓」はロングセラーを作りたいという自分の夢を叶えてくれた存在。こうして多くの皆さんに楽しんでいただけることを奇跡のように嬉しく感じております。
今回取材に伺ったスタッフは全員京都在住ですが、インタビューをして初めて知る内容が多く、一つひとつのこだわりに感服しました。
「茶の菓」から抹茶の味や香りがきちんと感じられること、綺麗な緑色であること、透明の包装袋に入っていること、当たり前のように感じていたこれらの中に、開発チームの工夫やこだわり、想いが想像以上に込められていたことを知り、「茶の菓」にファンが多い理由に改めて納得しました。遠方に行くときのお土産やゲストを招くとき、これまでより一層胸を張って、「茶の菓」をおすすめできるのではないでしょうか。年末年始の帰省土産にもぴったりですね。
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