[2024年最新]春を楽しもう!京都で桜の見える店...
森見登美彦著『有頂天家族』は京都に暮らす狸の家族を描いた小説。それを原作としたTVアニメ第1期が放送されて2023年で10年。今年は周年イヤーとして京都市各地でもコラボイベントが実施されるなど、盛り上がりを見せています。今回は作中に数多く登場する京都のスポットをアニメの場面写と、実際の写真で紹介。作品の魅力とともに振り返り、主人公の矢三郎がところ狭しと駆け回った京都の街を狸になった気持ちで巡ってみて。
(TEXT/面白きことは良きことなり、 EDIT/田村 実季)
[下鴨神社]に暮らす狸の家族と彼らを取り巻く人間と天狗の三つ巴を描いた、ファンタジックなアットホームドラマ。普遍的な家族愛が描かれており、時を経ても色あせない名作だ。実在する地域を舞台にした名作を数多くの世に送り出しているアニメーションスタジオ[P.A.WORKS]が小説の1行1行を愛と情熱を持って映像化。監督を務めた吉原正行氏は現在放送中のアニメ『天穂のサクナヒメ』でも心温まる物語を紡ぎ出している。
矢三郎たち狸の一族・下鴨家は[下鴨神社]の境内にある糺の森で暮らしている。有名観光スポットであるが、静かな森は周辺地域に暮らす人々の憩いの場でもある。森見先生が学生時代にこの地域で、実際に狸を見かけた経験が物語が生まれたきっかけになっているという。作中の境内は、現在よりも豊かな自然が残っていた頃の姿で描かれている。
[下鴨神社]は、正式名称を[賀茂御祖(かもみおや)神社]という。国内最古の神社のひとつであり、1994(平成6)年世界遺産に登録されている。年間を通じて『流鏑馬』や『御蔭祭』など伝統的な年中行事が行われており、なかでも夏に行われる『下鴨納涼古本まつり』、『御手洗祭』は大勢の人で賑わう。
「六道さん」の呼び名で地域の人々に親しまれる[六道珍皇寺]には、次男の矢二郎が引きこもっている井戸がある。長い間、蛙に化けていたため狸にもどれなくなった矢二郎は、家族の中で一人だけ森ではなく井戸で暮らしている。この井戸は、矢三郎の初恋の女性・弁天が、夜になると井戸の前で大粒の涙を流すというロマンチックなシーンにも登場した。
「六道」とは仏教の教義にまつわる言葉。中世以降「冥途への通路」として広く知られるようになった。井戸は平安初期の官僚・小野篁が冥土に通うために使ったという伝説が残っている。本堂の後方の緑が茂った静かな場所にひっそりとあり、思わず井戸に向かって悩みを打ち明けたくなるような雰囲気を漂わせている。
市内のメインとなる繁華街で作中のさまざまなシーンに度々登場する。特に印象深いのは「金曜倶楽部」を抜け出した矢三郎、弁天、淀川教授が、満月の夜に商店街のアーケードの上の作業用通路を歩くシーン。普段はあまり気にしないアーケードの屋根の上を見上げて、作品の情景に思いを馳せてみるのも面白い。
こちらの商店街があるのは、安土桃山時代に豊臣秀吉によって造営された通りで、残っている老舗の多くは、当時から代々続いてきた由緒正しき名店揃い。安土桃山時代から続く営みの歴史を感じさせる。その中にもファッションや雑貨、カフェなど新しい店が建ち並び、年中若者や観光客の往来で賑わっている。
弁天の怒りを買った矢三郎は、その代償として[三嶋亭]で行われる宴会で余興をすることに。七人の食通からなる「金曜倶楽部」のメンバーの前で、見事な七変化を披露して拍手喝采を受けた。人間たちに正体がばれると鍋の具にされるところだったが、狸であることはうまくごまかせたようだ。
「金曜倶楽部」のメンバーもうならせる老舗の味。その中でも特に味わいたいのが、現在の店主・五代目、三嶌太郎氏の考案による日本料理とすき焼きを融合させた[三嶋亭]屈指のコース。独自の調理方法と代々受け継がれてきた秘伝の割り下で、上質な熟成黒毛和牛を堪能できる。食事の最後に抹茶が提供されるのは、すき焼きの濃厚な甘さを抹茶の苦味で緩和してすっきりしてもらいたいというもてなしの心によるもの。
下鴨家の生活圏である出町柳エリアに佇む[そば処司津屋]は、作中では「そば処竹林亭」として登場している。店の外観から店内の細かな備品まで、アニメで描かれているものとほとんど一致しており、作品の世界に入り込んだような気分を味わえる。有名観光名所とは異なる、矢三郎たちの普段の生活の雰囲気が感じられる。
老人に化けた矢三郎も食していた玉子丼は、現在も蕎麦と並ぶ人気メニュー。鰹と昆布から作られる蕎麦だしをふんだんに利かせた、ごくシンプルな味付けを守っている。国内のアニメファンはもちろん、『有頂天家族』がきっかけで店を知った海外の旅行客も多く訪れるという。
狸たちの行きつけのバーで「朱硝子」の名前で度々登場。作中では狸が人間に化けて経営しているという設定になっている。店の名前や店内の構造は実際とは異なる点が多いが、落ち着いた店の雰囲気は実在する[BARノスタルジア]そのもの。自らの死を受け入れた矢三郎たちの父・総一郎が赤玉先生と最期の酒を酌み交わすシーンで強い印象を残している。
作品がきっかけで店の常連になった来店客が後を絶たない、森見登美彦先生のファン間では有名な聖地。森見先生の直筆メッセージや、ファンの交流ノートがその証拠。『夜は短し歩けよ乙女』にも登場するドリンクメニュー・偽電気ブランは甘すぎない飲みやすさで、現実と幻想が絶妙に入り交じった「森見ワールド」を存分に味わうことができる。
矢三郎の師匠でもある天狗の赤玉先生は、神通力を失い飛ぶことすらできない。そんな彼が恋心を燃やしている弁天に会おうと、逢瀬の場所に指定した場所が祇園のランドマークともいえる[南座]だ。正面のレストランから[南座]の屋根に軽やかに飛び移る弁天と、彼女に会おうと必死で屋根にしがみつく赤玉先生の切ない光景が浮かんでくる。
[南座]は江戸時代初期から続く日本最古の歴史を持つ劇場で、歌舞伎などの伝統的な古典芸能を始め、ミュージカルやダンスなど多彩な演目が行われており、魅力的なエンターテインメントを発信し続けている。劇場内に展開していたレストランが、観劇目的以外の人も利用できるうどん専門店[京都南座 なだ万茶屋]として今年4月にオープンするなど、地元の人に昔から愛されている。
弁天が所属する美食家の集い「金曜倶楽部」の宴会場所として登場。鴨川を挟んだ対岸の土手から、矢三郎が『平家物語』の那須与一よろしく矢文を放ち、弁天の扇に命中させるという風流なシーンが印象的だ。
川風で涼みながら食事を楽しめるとあって、京都の夏の風物詩となっている川床。貴船や高尾にある川床は“かわどこ”と呼ばれるが、鴨川の納涼床は、建物の床板から拡張された席という意味で“ゆか”と呼ばれている。鴨川では、鴨川に面した二条通から五条通の間にある飲食店が、夏季限定で設ける木組みの宴席が立ち並び、多くの人が訪れる。
1期のテレビ放送から10年の節目にあたり、「有頂天家族の日」という記念日を制定し、この先も末永く愛される作品となるよう、舞台である京都を通して10周年をお祝いするプロジェクトが行われている。昨年にはTVアニメ「有頂天家族」放送10周年~聖地・京都から作品への愛を届けよう!~と題したクラウドファンディングを実施。目標金額の500万円を突破し、約893万円の支援が集まった。
今年は京都市内の各地でラッピング電車の運行や、スタンプラリー、グッズ販売など、さまざまなコラボイベントが盛りだくさんなので、ここでしか手に入らない記念グッズを、この機会に手に入れよう!
叡山電車では車体を描きおろしビジュアルで装飾したラッピング車両が運行中。また、鞍馬駅に保存されているデナ21型車両が、期間限定で矢二郎が化けた「偽叡山電車」に姿を変えている。
また、京都市内に配置された5つのポイントを回り、すべてのスタンプを集めると限定クリアファイルがもらえるスタンプラリーも開催中。スタンプポイントに設置されているスタンプラリーシートを手に入れて、参加してみて。
さらに10周年記念の描き下ろしビジュアルを使用したグッズが、[アニメイト京都]、[下鴨神社]授与所ほかにて発売中。通販での購入も可能。
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アニメの放送から10年が経った今なお、多くのファンから愛され続けている『有頂天家族』。いつの世も変わらない家族の愛の物語に思いを馳せながら、新たな京都の魅力を発見してみては。
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©森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族」製作委員会
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