TVアニメ『有頂天家族』の聖地を巡る!面白き京都の...
森見登美彦氏の人気小説『有頂天家族』は、[下鴨神社]の境内で人間に化けて暮らす狸一家が、天狗や人間と、奇想天外、縦横無尽に京都の街を駆け回り大騒ぎを繰り広げる愉快なファンタジー物語。漫画、アニメにもなった有名作品が、遂に舞台化され京都[南座]へやってくる!個性的な登場人物たちが、演劇ならではのアナログな手法で魅了するというから、今から楽しみだ。
今回、ダブル主演を務める濱田龍臣さんが『有頂天家族』ゆかりの地巡りに京都へとやってきてくれた。作中にも登場する[南座]と祇園周辺、そして「まだ行ったことがない」という[下鴨神社]糺の森まで巡りながら、作品や役者としての想いを語ってくれた。
ーーーこれまで京都の祇園を歩いたご経験は?
『大岡越前7』の撮影の際、しばらく京都に滞在したのですが、太秦の撮影所に行き来しやすい西院あたりに泊まっていたので、このあたりにはほぼ来たことがなくて。[車折神社]にも行ったことありますけど、あそこも西の方ですもんね。[南座]の近くは鴨川も流れていて花街もあって、すごく京都らしさを感じます。
ーーー原作には[南座]のほか、出町柳の桝形商店街やすき焼きの老舗など、京都に実在する場所が描かれています。作品に入る前は原作をじっくり読んだり、関連作品を鑑賞したりされるのですか?
原作がある作品に出演する場合、公式サイトでキャラクターの説明を読んだりはしますけど。小説を読んだり、アニメを見たりっていう作業をしないんです。以前、したこともあったんですけど、自分には合わない気がして。原作と台本とで同じセリフがあるのかもしれないけど、結局、原作から別の作品になる時点で改変されていく部分が多々ありますし。僕がまず表層的に捉えたキャラクター像と役者としての視点をどう合わせていくか、他の方のお芝居を受けてどういう芝居をしていくのか、という作業を大切にしたいと思っているんです。
ーーー『有頂天家族』の舞台となる各所を実際に訪れていかがですか。
こういう景色として、実際に描かれている場所を見られるというのは、すごく楽しい経験です。この四条通りの[南座]の一角で、話が展開していくんだなって想像しながら歩いてました。今、この目で見ているものが、どんな舞台装置に落とし込まれていくんだろうってワクワクします。
主人公の矢三郎も渡った四条大橋を歩き、五花街のひとつである先斗町へ。先斗町通りの西側に細い路地がいくつも延びている景色の中に入ると「まるでタイムスリップしたよう!」と、昼間の先斗町に興味津々のご様子。
ーーー先斗町には京料理やバーなどの飲食店が立ち並んでいますが、見知らぬ土地で知らないお店にふらっと入ることはあるんですか?
せっかくだし行きたい気持ちがあっても、たいてい気が引けちゃって、結局いつもの全国チェーンのお店に入っちゃうことが多いですね。自ら見極めて一歩踏み出す勇気がなかなか湧いてこない。逆に、スタッフさんや共演者の方に「ココはいいよ!」って教えていただけたりすると、じゃあ行ってみよう!って動けるんですけど。『有頂天家族』も数多くの舞台を経験しておられる、ベテランの共演者の方が多いのでぜひ教えていただいて、このあたりのお店にも行ってみたいです。
ーーー大河ドラマ『龍馬伝』では、福山雅治さん演じる坂本龍馬の幼少期を可愛い風貌で演じていた濱田さんもお酒が飲める年齢、年男の24歳ですね。お名前にも龍も文字が入っていますが。
辰年生まれなのもありますが、父が歴史上の人物の中で坂本龍馬のことが一番好きで、そこから龍の文字をいただいたと聞いています。父とは今も割と仲良しで、子持ち昆布をアテに一緒に焼酎を飲んだりしますよ(笑)。
ーーーこれまでの俳優人生を振り返り「これからもずっとお芝居をしていきたい」と決意させた作品をあげるとすると。
やっぱりウルトラマンを演じさせていただいたことは、大きな出来事でした。すごく憧れていたウルトラマンを自分が演じることになって、今度は憧れの視線を向けられる側になった。ファンの方々の笑顔から、すごくエネルギーをもらいました。もらった分、こちらからもエネルギーを届けていくためにも、俳優の仕事を続けていきたいという思いが芽生えた作品です。
『有頂天家族』の主人公・矢三郎は誇り高き狸一家の三男。一家が暮らす[下鴨神社]に初めて足を運んだ濱田さん。神社を訪れること自体、久しぶりだったそうで、糺の森の清らかな空気に包まれ終始リラックスモード。
ーーー主人公の矢三郎役が決まった時は、どのようなお気持ちに?
え!?狸の役!?ということは、いろんなものに化けられるのかな、性別も職業も全く違う人に変身したりするのかなって、すごく楽しそうだと思いました。もし化けるシーンがあるのであればキャラクターの一貫性を表現しつつ、面白おかしく演じたいです。
ーーー矢三郎のモットーは「面白く生きる」ですものね。濱田さん自身は、面白く生きるために、どんなマインドが必要だと思いますか。
僕はもうとにかく適当でいたいです。雑という意味の適当ではなくて。いい意味で肩の力が抜けている状態と言いますか。“適当”って、適度に当たっていると書くでしょう。完璧を目指して力むことなく適度に当たっていることを提示できれば、あとは意外と周りの皆さんが協力してくださって、いい形になっていくんじゃないかなと思っています。人間は完璧な生命体じゃないし、身の丈以上のものを掴むことはできないから。
[南座]は、小説『有頂天家族』の主人公・下鴨矢三郎の師匠でもある天狗の赤玉先生が意中の人を呼び出す、作品とゆかりある場所。[南座]の館内を見渡しながら、趣のある雰囲気を楽しんだ。
ーーー矢三郎役は中村鷹之資さんとのダブルキャストというのも気になります。
ポスター撮影の時に初めてお会いしたんですけど、とても柔和でやさしい雰囲気を持ってらっしゃる方。歌舞伎の世界で生きてこられた方って、話し方も、一つひとつの所作も、こんなに丁寧で美しいんだと驚きました。ダブルキャストのお芝居って、そのことに目が行きがちだと思うんですけど、実はダブルキャストの周囲を固めてくださる、シングルキャストの皆さんが素晴らしいんですよ。主人公を演じる2人それぞれの芝居を受けて、芝居に当たるっていうのはすごくエネルギーが必要なこと。2回公演の日でダブルキャストが交代することもあり、2回とも同じキャストがやるのとは大変さが違うと思う。シングルキャストの皆様の懐の深さというか、お芝居の柔軟さが際立つと思っています。
ーーー『有頂天家族』の舞台を楽しみに待つ方々に、ひとことお願いします。
自分の思考の範囲には限界があります。なのでどう消化したらいいのかわからない時はそれを口にして、演出家の方、共演の方と話をしながらよりよい作品にしていきたいと思っています。面白おかしい『有頂天家族』、緊張のシーンからくすっと笑ったり、ハハハッと思い切り笑ったり。緩急あるお芝居を楽しんでいただきたいです。
身長178cmと舞台映えする体格にオーラを纏いつつも、インタビュー中も常に自然体でやさしい空気が漂う。撮影中、ファンの方々に声をかけられると「[南座]で公演するので、その撮影です。ぜひ観にきてください」と、やさしい笑顔で受け答え。
子役としてデビューしてから様々な役を経験し、あらゆることを吸収してきた今の姿が頼もしい。幼い頃の面影が残る笑顔とは裏腹に、どっしり構えた貫禄を感じさせる。スケジュールが詰まっていても「難なくこなすから」とマネージャーさん。午前と午後で全くの別人を演じることもあるが、「ね、できちゃいました」と屈託なく笑う。子役から活動を始めて22年だがまだ24歳。これからもますます目が離せない俳優の一人だ。そんな彼の演じる“狸”と、作品ゆかりの地をぜひ京都で楽しんでもらいたい。
■濱田 龍臣(はまだ たつおみ)
プロフィール
2000年生まれ、千葉県出身。子役としてデビューし、2010年、大河ドラマ『龍馬伝』での坂本龍馬の幼少役や、実写版『怪物くん』での市川ヒロシ役が大きな話題となる。『ウルトラマンジード』で主人公・朝倉リク役、『モブサイコ100』で主演・影山茂夫役、『サバエとヤッたら終わる』で主演・宇治役を演じる。映画やドラマを中心に、舞台、CM、バラエティなどボーダレスに活躍中。
【ストーリー】
千年の都・京都では、いにしえより大勢の“狸”が人間に化けて暮らしている。[下鴨神社]、糺ノ森に住まう狸の名門・下鴨家では、狸界の頭領「偽右衛門」であった父・総一郎が、京都の美食クラブ「金曜俱楽部」の忘年会で狸鍋にされてこの世を去った。残された四兄弟の矢一郎・矢二郎・矢三郎・矢四郎と母の桃仙は、「面白きことは良きことなり!」を合言葉に暮らしている。しかし下鴨家には長年対立している四兄弟の叔父・早雲が率いる夷川家の存在があった。季節は巡り、狸界では、空席であった頭領「偽右衛門」の座を争って、選挙が行われることとなる。立候補したのは、亡き父の意思を継ぎ、立派な狸になろうとする長男・矢一郎と、狸界を牛耳ろうとする早雲。しかし、選挙の日は狸鍋がもてなされる「金曜俱楽部」の会合と同日。夷川家の策略で桃仙と矢一郎が狸鍋の具として捕まり、檻に入れられてしまう。矢三郎は兄弟らとともに二人を助けに向かうのだが…。
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