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次代を担う花形俳優の中村壱太郎、尾上右近、中村隼人が出演する『三月花形歌舞伎』が2024年3月2日(土)~3月24日(日)まで上演されている。公演初日に中村壱太郎、尾上右近、中村隼人の3名が[南座]劇場前にて挨拶を行った。
壱太郎は「『三月花形歌舞伎』初日でございます。私たち平成世代の歌舞伎役者が24日まで熱い熱い舞台を繰り広げてまいります。4年目の『三月花形歌舞伎』、みなさんに楽しんでいただけるご趣向やお芝居はもちろんですが[南座]全体で盛り上がってまいりますので、ぜひ応援のほどお願いいたします」と挨拶。
右近は「申し上げたいことは壱太郎さんが言ってくださいましたので、私はマイクパフォーマンスで!」とマイクを持って右へ左へ移動しファンサービス。これには集まった大勢のファンも大歓声。
隼人は「今回で4回目となりましたがチラシを見ていただいたらわかるように一番看板役者が少ないのが気になっております(笑)。友達や帰りのバスなんかでも隣の人にもぜひ宣伝していただいて多くの皆様に観にきていただけるようお願いします。『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』、『河庄(かわしょう)』、『将門(まさかど)』と本当に大変な作品が並んでおります。命懸けで勤めていきますので、ぜひとも応援よろしくお願いいたします!」 と、笑いを誘いつつ、公演への意気込みも語った。
最後に手締めを依頼された壱太郎は「一番上になったことがないので初めてです。緊張しますね」と準備をするが、すかさず横から右近が「お手を拝借!」と割り込み、壱太郎が「ちょっと待って!僕だから!!」と止めに入るも、今度は隼人が「よ〜お!」とまた邪魔をする息ピッタリのやりとりに、集まったファンは大いに盛り上がった。
気を取り直した壱太郎が「『三月花形歌舞伎』の大成功を祈り、みなさまのご健康、ご多幸を祈り締めさせていただきます!」と無事に手締めを完了。「成駒家!」「音羽屋!」「萬屋!」という大向こうの掛け声と、女性陣の歓声とともに初日イベントを大盛況のうちに終了した。
初日の午前の部が始まると、『乍憚手引き口上(はばかりながらてびきこうじょう)』では扮装に着替えた壱太郎が「お客さまとの距離を縮めたい」と劇場後ろから客席通路を通って登場。「平成世代の役者が古典に挑み、古典歌舞伎を紹介します。『河庄』では色恋のお芝居、孫右衛門(中村隼人)はセリフのないところでも演技をしております。『将門』は妖艶で雰囲気のある舞台です。桜プログラムと松プログラムで演出も違います。またパンフレットには稽古風景も載っていますのでぜひご覧ください」と紹介すると、今度は撮影タイムがスタート。観客も思わぬ撮影タイムに慌てつつも、パシャパシャとみなみーなと並ぶ壱太郎を撮影し喜んでいた。
松プログラムの1つ、中村鴈治郎指導の下、右近が治兵衛を勤める『河庄』は、右近と隼人との掛け合いも見どころのひとつ。怒ったり、泣いたり、茶目っ気がある治兵衛がどこか憎めないけれど、小春(壱太郎)を思うと心が痛む。今も昔も変わらぬ愛憎劇や人間模様が垣間見られるのも面白い。
『忍夜恋曲者 将門』はプログラム毎に光圀役が変わり、演出も衣裳も変わるので、ぜひ2つのプログラムを制覇したい。壱太郎が演じる滝夜叉姫の妖艶で華やかな踊りはもちろんだが、舞台狭しと機敏な立廻りをみせる俳優達に圧倒されること間違いなし!
桜プログラムで上演する、片岡仁左衛門監修で隼人が与兵衛に挑む『女殺油地獄』は、近松門左衛門没後300年記念にと『河庄』と共に選ばれた古典作品。狂気に満ちた与兵衛に惨殺されるお吉とのシーンは思わずゴクリと固唾を呑むほどの緊張感が漂う。
中村壱太郎・尾上右近・中村隼人が三演目ともで共演し、古典ならではの面白さと共に、30代前半の平成世代らしい溢れんばかりの熱気が感じられる『三月花形歌舞伎』。もちろん若さの勢いだけではなく、今までの経験から築き上げた伝統の技術とともに観客を魅了する力も合わせ持つ彼らからは、お互いを支え合いながら高め合う空気感が伝わり、観劇後、すぐに次の舞台を心待ちにしていることに気づかされる。
歌舞伎初心者さんや常連さんにも、『乍憚手引き口上』で見せる親近感のある雰囲気と、演目で見せる息も上がるほどの舞いや立廻りとのギャップを楽しみながら、彼らの熱い歌舞伎への想いを受け取ってみてもらいたい。特に初心者さんには、舞台上でのやりとりの意味や衣裳、舞台装置、音楽などの説明もしてくれるイヤホンガイド(800円)もあるので、「この所作はそういう意味なんだ」「音楽の歌詞で説明するシーンなんだ」などなど、グッと物語の理解度が高まるのでおすすめ。
口上での撮影タイムの他、[南座]の劇場内には記念撮影エリアなど、ファンにはありがたい“推し活”スポットが用意されているので、劇場内も散策してみよう。
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