[2024]鬼は外!京都で春を招く節分祭3選
平安京遷都以前から豪族が繁栄の礎を築き、それにともなって培われてきた、京都の食文化。豊富な山海の食材に、磨き抜かれた料理の技と味わいをいっそう引き立てる室礼が一体となって、訪れる人の五感を満たします。
古より塩や海産物などを送って、都の食文化を支えてきた御食国(みけつくに)。その中のひとつ、福井から運び込まれたメインルートが、小浜から熊川宿、大原から出町柳を通る鯖街道こと若狭街道。大陸とつながる海からの道のひとつであり、北前船の寄港地であり、さらには海と都が結ばれる陸の道の拠点でした。京料理の要であるダシに欠かせない、北海道で採れた昆布は北前船で運ばれ、福井から若狭街道と琵琶湖を経由して京都に運ばれました。若狭湾の魚も塩をして運ばれ、ぐじの塩焼きや鯖寿司になったのです。
街道には宿場町が栄え、往来によってもたらされた伝統文化が広く伝播し、独自の発展を遂げたということで、「御食国若狭と鯖街道」として日本遺産に認定されています。この街道沿いにある[平八茶屋]は安土桃山時代から店を構えて歩んできました。
豊かな風味を持つ食材に技が加わり文化を築く
時代とともに手掛ける料理や素材は変化していますが、京都の素材は優れていると感じます。同じ野菜でも京都産はやわらかくて筋張ってないし、それぞれの個性が際立って味が濃いんです。他府県産と見た目は似ていても、食べると違いがはっきりわかります。京都の気候風土に育まれて完成された味わい、土地の良さが凝縮しているといえます。京野菜のほか、豆腐、湯葉、生麩、米などの素材、そしてダシに日本酒など、京料理に関連するものはすべて水が深く関わり、良質な京の水が育んでいます。
素材の良さをさらに引き出すには、技術も大切です。たとえばダシは店によって違い、ダシは店を表します。お客様はその店のダシが気に入って、ひいきにするといっても過言ではありません。ダシをひく技をはじめ、料理は手間を掛けて形づくります。どうしたらもっと美味しくなるか、技を磨き、洗練されて現在の京料理になったのです。もちろん素材は変化していますし、私たちも新しいことに挑戦し、値打ちを感じたら取り入れます。その時にある素材を一番美味しい状態にして提供するのが、料理人の務めです。
けれども料理は主役ではなく、お客様。料理はお客様との間にあって、人と人とをつなぐ役割を果たすものだと考えています。昨年、京料理が国の登録無形文化財に登録されました。これによって「食が文化として認められた」「生活文化に食が仲間入りした」ということで、非常に意義があります。美味しさで人の絆を担う、そこがまさに文化としての役割なのです。
和食は日本人を培ってきた源であり、ただ空腹を満たすだけではない、五感を働かせて幸福を感じるための大事なファクターでもあります。このたび文化財としての立ち位置が確立される第一歩を踏み出したので、全国各地の料理界も動き出し、いずれは人間国宝が出せればと願っています。
色白でえぐみの少ない西山の筍が春を告げる
唐で仏教を学んだ禅僧が孟宗竹を持ち帰り、西山山麓に植えて広まったといわれる京都の筍。一年を通じて農家が丁寧に手入れする竹林から毎朝、掘り出される筍は、色白で甘みと香りが濃くとてもやわらかです。洛西から山城にかけての地域では、筍が春の訪れを告げます。
千年の都で進化を遂げた味が濃く栄養価も高い京野菜
都には人が集まり、各地から自慢の野菜が献上されました。肥沃な土壌と良質の水に育まれた野菜は改良されてさらに美味しくなり、栄養価も高い京野菜となったのです。今では九条ねぎや壬生菜など土地の名が付いた野菜も周辺へと主産地が移り、京都府下で優良な京野菜が育っています。
旅人の疲れを癒やした素朴な味わいを京料理に昇華
鯖街道を行き交う旅人のため、ぼそぼその麦飯を食べやすいように工夫したのが「麦飯とろろ汁」です。粘りの強いつくね芋を麦飯にかければ、するすると食べやすく、芋に含まれる酵素の働きで消化に良く栄養になるので、たいへん喜ばれました。いわば昔のファストフードです。
現在は米と麦7:3の割合で炊いたごはんに、厳選して熟成させたつくね芋をダシでのばしたとろろ汁をかけ、しば漬けほか季節の漬け物を添えます。素朴な味わいの中にも、お客様をねぎらうために工夫された「おもてなしの心」が脈々と息づいています。
日本酒の主な原料は水と米です。米の品種は多彩ですが、京都独自の酒造好適米に「祝」があります。大粒で酒造適性が非常に高い吟醸酒向きの米で、京都の水で仕込めばなめらかでふくよかな酒が醸せます。
また、酒造りの工程であとから加える掛米にも京都独自の米がほしい…ということで、農研機構中央農業総合研究センターと京都府農林水産技術センターが育成に取り組み、平成24年に誕生したのが「京の輝き」です。現在は掛米だけでなく、京の輝き100%の酒もでき、祝に並び京都を代表する酒米に成長しています。
そして米を日本酒にするためには、麹菌と酵母の働きが不可欠です。京都市産業技術研究所は昭和30年代から酵母の管理と分譲に携わり、京都オリジナルの酵母を開発してきました。保管する100株以上の酵母から選抜と培養を繰り返し、平成16年に誕生した「京の琴」をはじめ、「京の華」「京の咲」「京の珀」「京の恋」という5つの京都酵母です。それぞれ華やかな香りやまろやかな香味、すっきり上品なキレを出す個性があり、蔵元は造りたい酒のイメージで選んで使用します。
京の水・京の米・京の酵母を使い、京の蔵元が醸した京の酒は、京料理との相性も抜群。京都の風土と水と技が、美味をつなぎます。
“もうひとつの京都”と呼ばれる「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」には、エリアごとに魅力的な食材が溢れています。
「食らし旅」では、そんな“もうひとつの京都”エリアの“食と旅”の情報を発信しています。料理人の技術と素晴らしいロケーションが一緒に楽しめるのは、現地に行ってこそ。
さぁ「食の京都」を旅しませんか?
とれたての魚介と野菜がかなえる丹後イタリアン
実家の鮮魚店にナポリピッツァオリンピック銀メダリストが開いたイタリアン。日本海の幸と京丹後で栽培されるイタリア野菜をマッチさせた前菜や、沖キスなど旬の地魚をふんだんに使ったピッツァなど、わざわざ食べに行く価値あり。
イートインもテイクアウトもフル活用できる魚屋さん
舞鶴漁港の仲買人資格を持つ店主が目利きした鮮魚と、それをさまざまに加工した惣菜がずらり。ウッディなイートインスペースで味わうも良し、テイクアウトも良し。鮮魚の下ごしらえは無料、塩焼きや煮付けなどの調理も安価で頼めます。
新鮮野菜とのマッチが絶妙 亀岡牛のコース
常連の農家から仕入れる旬の新鮮野菜を使用した料理や、亀岡牛・京丹波ぽーく・丹波黒どりなど、地元の食材をふんだんに使用した料理が楽しめる落ち着いた雰囲気が魅力のイタリア料理店。パスタソース・ドレッシングなどのお土産も人気。
丹波のテロワールを活かした京都の食に合うワイン
昼と夜の寒暖差が激しく、ブドウ作りに適している京丹波。広大な農園で50種のブドウを栽培し、その中から厳選した10種のブドウで20種以上のワインを醸されています。数々の大会で受賞歴のある美味しいワインが味わえるレストランも併設。
和素材使いが冴えるフレンチの一軒家レストラン
オーナーシェフが食材調達から調理、サービスまで一人で手掛ける一軒家レストラン。近郊の採れたて野菜をふんだんに使い、正統派フレンチに千枚漬や一休寺納豆など京都独自の食材を取り入れた、和のエッセンスが香る「京田辺フレンチ」です。
抹茶を「料理」にした草分け 創意が光る京料理の老舗
天保10年に茶問屋として創業し、大正2年から抹茶料理を名物にする料亭。宇治らしい料理として創案されたコースは、抹茶豆腐に始まりデザートまでお茶づくし。メニューによって抹茶や碾茶の種類が変えられ、繊細な風味を満喫できます。
年中、掘りたて筍の風味が堪能できる品揃え
筍の名産地・西山丘陵で、農家が丹精込めた京たけのこの旬限定の味・食感を年中味わえるようにと工夫された水煮真空パック、佃煮や筍ごはんの素が看板商品。特殊冷凍技術により完成した「京たけのこ懐石」や、今注目の「こめ油」も人気。
京たけのこを主役に 京都産の筍を一年中味わえる名店
色が白くえぐみの少ない京都産の筍を、愛らしい形のまま寿司に仕上げた「竹の子姿ずし」が名物。旬の時期には竹の子づくし会席も味わえます。筍の惣菜や筍入り笹羊羹、筍入りアイスなどのお取り寄せも可能。
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